2013年12月9日15時53分
【シンガポール=藤田知也、池尻和生】環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐり、安倍政権は関税をなくす品目数の割合を示す「貿易自由化率」を従来の最大89%前後から90%台に引き上げる方針を固めた。聖域とするコメや麦など農産品5項目の関税維持を優先し、まず5項目以外の関税撤廃の可否を検討する。
日本はこれまでに提示した最大89%前後が他国から「低い」と指摘され、年内妥結を目指し譲歩する。日本が締結してきた自由貿易協定で自由化率90%を超えれば初めてとなる。5品目の関税を維持した場合の自由化率93・5%を上限としたい考えだが、この線を守れるか予断を許さない。
複数の交渉関係者によると、日本政府はすでに92%程度まで引き上げる撤廃案を作成し、複数国に交渉次第で90%台に引き上げる用意があるとも伝えたという。シンガポールで10日まで開催される閣僚会合か二国間交渉で、引き上げ方針を参加国に正式提示する見通し。
日本は過去に締結した自由貿易協定で、約9千品目のうち約930品目で一度も関税をゼロにしたことがない。うち国会や自民党の決議に従い、586品目ある重要5項目の関税をすべて維持すると、自由化率は93・5%になる。だが、米国は100%関税撤廃を要求し、他国も一層の引き上げを求める可能性が高く、日本政府がさらに自由化率の引き上げ判断を迫られることも予想される。
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