◆梅田恵子(うめだ・けいこ) 1967年3月6日、東京・豊島区生まれ。89年入社し、主に芸能担当。主なスクープは小泉今日子結婚、広末涼子結婚など。社内屈指のテレビおたくでややネクラ。 ドラマ、アニメ、歌謡曲、80年代洋楽などがやや得意。辛口コラムでやや知られ、10年から紙面等で「勝手にドラマ評」を展開。極度の偏食で昼食はおひとりさまです。
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中古品ばかり…フジテレビの淋しい年の瀬
[2013年12月10日17時36分]
フジテレビの年の瀬が淋しい。年間視聴率トップの座をめぐり日本テレビとテレビ朝日がデッドヒートを繰り広げており、フジはすっかり蚊帳の外だ。他局の何歩も先を行く全盛時代を知るだけに信じられない思いだが、確かに最近の番組作りを見ても、いまひとつわくわくしないのである。
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わくわくしない理由は人それぞれだと思うが、個人的にしょんぼりなのは、番組作りが「往年の」とか「再び」ばかりで中古感が漂うことだ。来年1月の連ドラは「医龍4」という。無難ではあるけれど、カラフルさやダイナミックさというお家芸がどこかへ行ってしまったように思う。
「ロングバケーション」「踊る大捜査線」などで知られる名物プロデューサー、亀山千広氏が今年6月に社長に就任して以来、この路線が徹底している。25年ぶりに“W浅野”とか、「ショムニ2013」「救命病棟24時」など過去のタイトルを続々と再生産。「ビーチボーイズ」(97年)っぽい「SUMMER NUDE」とか、「踊る-」の織田裕二を起用した「Oh,My Dad!!」とか、17年間連ドラ主演がなかった広末涼子を起用した「スターマン」とか。保守なチャレンジが着々とすべる横で、TBS「半沢直樹」に最高視聴率42・2%の大記録を打ち立てられた。
ヒットメーカーが社長になって、制作現場が萎縮しているのだろうか。亀山氏は、朝ドラの常識をことごとく打ち崩した「あまちゃん」や、ウケないといわれていた銀行モノで当てた「半沢直樹」など他局のヒット作について「ヒットする作品には『発明』がある」とうらやましそうだ。しかし、定例会見で語る現状は「疲れている番組が目立つ。悩みながらフォームを変えて、元のフォームに戻れなくなった感じ」。
ベテラン放送担当記者は「企画力の低下が激しい。ドラマ枠も増えた中、過去の作品リストから平均視聴率13%くらいの作品を探して再登板させている。この時代向けの切り口でリニューアルするわけでもないから、鳴り物入りで復活させた『料理の鉄人』(アイアンシェフ)を半年で潰したりする」。「トリビアの泉」が再登場する案が検討されているという話も聞く。「入社した時から民放王者。新しい手法で一発当ててやるというギラギラした発想がない」とも指摘する。
ダイナミックな企画力とイケイケのフットワークで他局の何歩も先を行くフジテレビを見てきたこちらにとっては、ちょっと信じられない姿である。
入社して放送担当に配属された89年、フジは12年連続3冠王の真っただ中だった。当時は深夜枠で革命を起こしており、思い切った若手ディレクター陣の起用で「カノッサの屈辱」「カルトQ」など新しい感性の番組が次々と生まれた。「深夜で冒険的な番組を作り、ゴールデンに昇格させる」というフォーマットを確立したのもフジテレビだ。後に「世にも奇妙な物語」になる「奇妙な物語」や、脚本家三谷幸喜を世に出した「やっぱり猫が好き」など、後の人気番組や人脈につながるコンテンツを次々と生んでいた。トレンディードラマで一時代を築いたのもこのころだ。
当時は本社が新宿区河田町にあり、局内もイケイケだった。プロデューサーが廊下で見つけた雑誌記者に立ち話で番組を売り込んでいたり、「宣伝方針が気に入らない」という芸能事務所からの電話を宣伝部員が一喝していたり。小ネタに事欠かないので、紙面スカスカの日は私のようなスポーツ紙記者がいつの間にか集まっていた。「楽しくなければテレビじゃない」の旗印のもと、「こう作ってこう売る」というビジョンが各々にあり、ものづくり集団の自意識がみなぎっていた。
今や、イケイケ精神はテレ朝に移ってしまった。10年くらい前に「ミドル3」として先物買いしたさまぁ~ず、雨上がり決死隊、くりぃむしちゅーが盤石。改編期でなくても2番組合体SPを連発する安上がりなフォーマットをひねり出し、ゴールデンで3時間「アメトーク」を放送した後に深夜でも「アメトーク」とか、節操なさげなフロンティアをガンガン開拓している。ドラマでも、毎年同じ時期に万全のクオリティーで新シリーズを投入する「相棒」の覚悟がすごいし、「黒革の手帖」(04年)以来徹底的に米倉涼子を育てて「ドクターX」につなげた息の長い女優育成法も結果を出している。やわらか頭と先物買い。みんな、かつてフジがやっていたことだ。
実は、フジテレビが7年連続年間視聴率3冠王の最後の年となった2010年12月、局と放送記者会の懇親忘年パーティーで乾杯のあいさつをさせていただいた。たまたま幹事社だったニッカンに大役が回ってきた。絶好調の局に記者会からつける注文も特になく、短く終わらせようと、当時流行っていたWコロンのなぞかけで翌年にエールを送った。「富士(フジ)」と「日本一」をかけたオチの分かる素人作品だったけれど、お祝いとあってどのお歴々も盛大に喜んでくれた。翌年、エールを送ったこちらは担当替えでフジを離れ、年間視聴率も日テレに抜かれて2位となり、今では週や月によっては民放4位になることもある。
私がさげまんと言われないためにも、来年こそは1位を奪還してください。
【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)
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