中国メディアは何を報じているか

欧米の政府高官は中国に強く出ない? キッシンジャーやブレアも 退職後に勤しむ「対中ビジネス」

弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)  早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

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(写真:アフロ)

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 2007年10月に招商銀行の馬蔚華総裁がキッシンジャー氏とニューヨークで会談し、同銀行とアメリカンエクスプレス社(以下、アメックスと略称)の協力関係について協議した。馬総裁が「私たちとアメックス社の中国での協力は成功しますか?」と聞くと、キッシンジャー氏は「疑いないです。中国で招商銀行のような重要なパートナーを得れば成功間違いなしです」と答えたという。2010年5月にアメックス社が「センチュリオン」ブランドを中国に上陸させた際にカードを発行するパートナーとして選んだのが招商銀行だった。

ブレアは退職してからほぼ毎年中国を訪問

ブレア元首相:カシュガル市との契約

 イギリスのブレア前首相は退職してからほぼ毎年中国を訪問している。彼は2009年にトニー・ブレアアソシエーツ(Tony Blair Associates)を設立した。新華社報道では同社の主要業務は「商業コンサルティングで政治体制改革などの面でもコンサルティングサービスを提供する」としている。

 2005年に首相在任中に訪中した際に、彼は北京で企業9社のトップを招いて朝食会を開き、イギリスへの人民元での投資を呼びかけた。中国電信、アリババ、華為、美的、康佳といった企業が参加した。

 2007年11月に広東省東莞市のデベロッパーが33万ドルで彼の訪問日程のうちの3時間を買い取った。ブレア氏は同市で演説を行い、「中国に来るなら、ここ東莞に来るつもりだった」と言って(一国の元首相がわざわざ訪れる場所には思えないから単なるリップサービスだろう:筆者)、このデベロッパーの新築マンションを参観した。

 2012年にカシュガル市政府(新疆ウイグル自治区)とブレア社が業務提携契約を結んだ。同年2月に双方は香港で戦略協力協定に調印し、同社はカシュガル市に、より多くの外資を呼び込むことを承諾し、海外技術や国外での協力機会を提供することで合意した。2012年6月にブレア氏は北京市の王府井のモールに現れ、カシュガル市政府関係者と会談し、カシュガル写真展のテープカット式にも出席した。

ポールソン元財務長官:ボアオフォーラムで中国指導部とビジネスの新チャンネル

 米国の財務長官を退く(2009年)まで彼は定期的に中国の指導者と会談してきた(GS社では中国業務を積極的に開拓、訪中回数も70回以上の親中派とされる:筆者)。退いてからボアオ・アジア・フォーラムの理事にも就任し、ここが中国の指導者たちと会談する新たな場にもなっている。2011年の同フォーラムでポールソン氏は「中国ビジネス」をテーマにした書籍出版計画を明らかにしている。

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弓野正宏(ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

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