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うっかりエロ展開が欲しいとの要望があったのでエロ回を。
短めですがすいません。
苦手な方はご遠慮ください。
三部
6話
 迂闊だった。

 仮にも女性と同じ屋根の下で暮らしているのだ。
 こういった事態は、ちゃんと想定しておくべきだった。
 漫画やラノベ、アニメでも、もうお約束の展開じゃないか。

 俺はみるみる顔を赤くしていくダクネスと、脱衣場でずっと見詰め合っていた。
「きっ……!」



「きゃあああああああああああああー!」

 俺とダクネスしかいない屋敷の中に、甲高い悲鳴が響き渡った。


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「それじゃあ、一週間。そこまで言ってくれるのなら、色々と家事を頼むな」
「……ん……。分かった……」

 鎧は外し、むちっとした体のラインが出る、黒のタイトスカートに黒のシャツ。
 そして黒タイツを着用したダクネスは、なんかそれはもうエロかった。
 そのダクネスが、俺の傍に待機している。

 そのまま俺はつい調子に乗り。
「そこは、かしこまりましたご主人様、だろう」
「……ん……くっ!! か、かしこまりましたご主人様、私は卑しいメス豚です……!」
「そこまで言えとは言ってない」
 プルプルと赤い顔で震え出したダクネスに待ったをかけた。

 機動要塞デストロイヤー戦において、一番頑固なワガママ言ったのに何も出来なかったダクネスは、突然何を思ったのか、お詫びに一週間ほど、メイドとしてこの家の家事を全てやると言い出した。
 仮にもお嬢様なので家事なんてやった事もなく、どうせロクな事にならないと今までは何もさせていなかったのだが……。

「では、何をしようか。正直家事なんてした事無いから、何から始めればいいのかさっぱり分からん。とりあえず、カズマのズボンの股間部分にお茶でもこぼして、それを慌てながら拭けばいいのか?」
「お前はお茶を入れるのは禁止な」

 こいつの頭の中のメイドさんはどんな職業なのだろう。

「まああれだ。適当に掃除でもしててくれ。食器洗いはいいからな。割るだろうし。そんな非経済的なお約束はいらない」
「……む。……分かった……」
 何だかちょっとガッカリした様子のダクネスが、トボトボと広間を出て行った。

 アクアは山へ死馬狩りに。
 めぐみんは川へ爆裂に。
 なので、今日はダクネスと二人きりだ。

 出かけた二人はお腹が空けば帰ってくるだろう。

 それより、日頃迷惑かけられている分、今日はせいぜいダクネスをこき使ってやろう。

 ……と。
「きゃああああっ!」
 ワザとらしい悲鳴と共に、何かが盛大に割れる音。
 そのまま壊れた何かを持ったダクネスが、こちらに向かって駆けてくる。

「申し訳ありませんご主人様! ご主人様が大切にしていたツボを割ってしまいました! このお仕置きはどんな事でも……っ!」
「俺はツボなんて大事にしてもいないしそんな物持ってもいなかったが、本当に大事な物壊したら、ギルド内にララティーナを浸透させる仕置きするからな」
「!?」






 高そうな黒シャツやスカートが汚れるのも気にせずに、せっせと雑巾掛けをしたり窓の枠を拭いたりと、かいがいしく家事をこなしていくダクネス。

 そんなダクネスの家事の出来具合をチェックする。

 なぜそんな事をするのかと言えば、暇だからだ。

 先日あれだけの激戦を行なった後なので、流石にしばらくはせこせことジッポ作ったりする気にはなれない。
 更には現在ギルドから、機動要塞の賞金額の問い合わせ等が行なわれている。
 国を滅ぼし、世界中を荒らしまわった賞金首、機動要塞デストロイヤー。
 あの機動兵器は、色んな所から賞金が掛かっていたらしい。
 その総額は、数十億は下らないのではと言われた。
 参加した冒険者全員で割っても、相当な額が貰えるのではと期待している。

 俺はダクネスが磨いていった窓枠の縁を指先でなぞり、それを見る。
 だが、期待していた様に指先に埃が付く事は無く、綺麗に掃除されていた。

「……くっ、器用度が低いくせに、こんな時だけちゃんと抜かりなく掃除しやがって……! いちゃもん付けて、お仕置きと称してララティーナちゃんの名をギルドに定着させてやろうと思ったのに」
「ふふ……。そう易々とお仕置きなど受けんさ……。相変わらず私の本当に嫌がる事を的確に思い付く奴め……。後、ちゃん付けだけは本当にやめてくれ。お願いします」

 頬を赤くするダクネスの、掃除においては及第点をあげざるを得なかった。


 だが、その後も…………。


「……くっ、塩と砂糖を間違えるとか、何かやらかすと思ったのに……!」
「ちゃんと書いてある字を読めば、普通は間違えたりしないだろう。それに冒険者稼業をやっていれば、肉を焼くぐらいは出来る」
 俺はダクネスに作ってもらった昼食を食べ、思わず唸る。
 ご飯と生野菜と焼肉だが、シンプルで失敗しない料理を選ぶ辺り、本気でお仕置きされたくないのがうかがえた。
 ダクネスが、勝ったと言わんばかりの表情で。
「ふ……どうだ? 味は」
「普通」
「!?」


 トイレ掃除。
 それは、普段はアクアの担当なのだが。
「……その、トイレの掃除は必要なのかこれは」
「……い、いらないかな」

 女神の浄化作用のおかげだろうか。
 適当に掃除しているクセに、アクアが管理しているトイレは、家の中のあらゆる場所の中で、一番ピカピカに光り輝いている。
 仕方が無いので次に行こう。



「本当に? これは本当に、一番大切なメイドの仕事なのか!? 私が物を知らないと適当に言っていないか? 少なくとも、我が家で雇っていたメイドには、父はこんな事はさせていなかったが!」
「本当だ! 俺の国では、メイドって言ったらコレをやってもらわないとメイドじゃない!」

 俺は何度も玄関から出たり入ったりをしながら、その度にお帰りなさいませご主人様を言ってもらっていた。

「ほらっ、笑顔が硬い! お前は何でそんなに無愛想なんだ! 怖い! もっとにこっとしながらお帰りなさい!」
「お、お帰りなさいませご主人様!」
「違う! 手はこう! 足はこう! もっと前屈みに、色々と強調して! さん、はい!」
「お帰りなさいませご主人様! いたぶられるのは好きですが、あまり調子に乗りますと、私の取り得の一つの握力が……!」
「あああああ、割れる、頭が割れる! なんか出る! ごめんなさい!!」

 コメカミにアイアンクローを食らった俺は悲鳴を上げながら謝った。


 エロい格好したダクネスと二人きりと言うシチュエーションで、色々と昂ぶり過ぎた。
 これはいけないとばかりに、俺は慌てて街に繰り出した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 俺が頭を冷やして帰宅すると、屋敷の中には誰もいない。
 アクアもめぐみんも、まだ帰ってこない様だ。
 ダクネスはどうしたのかと屋敷内をウロウロするも、どこにも姿は見られなかった。

 ふむ……。
 誰もいないというのなら、今の内に風呂でも入ろう。
 連中がいると、おちおち風呂にも入っていられない。
 特にアクアの後に風呂に入ると、入れておいた入浴剤が浄化され、ただの綺麗なお湯に変わってしまう。

 クリエイトウォーターとティンダーと薪を使って湯を沸かし、のんびりと風呂に浸かる。

 思えば、最近は借金に追われ、こうしてのんびりと風呂に浸かる事もあまりなかった気がする。
 勿論、まだ借金が無くなると決まった訳では無いが、それでも今回のデストロイヤー戦の報酬には、かなり期待していた。
 肩まで温かい湯に浸かり手足を伸ばす。
 思わず、ほうっとため息が出た。

 一体どれほど浸かったのか。
 俺はのぼせる前に風呂から出る。


 そして、そのまま上機嫌で風呂場のドアを開けて脱衣所に…………、
 居るダクネスとバッチリと目が合った。


 しばしそのまま呆然としていたダクネスが、やがてみるみる内に赤くなる。
 そして……!

「きっ……!」

「きゃあああああああああああー!」
 屋敷に甲高い悲鳴が上がった。
 白い肌が熱で朱に染まり。
 甲高い悲鳴の振動により。
 その悲鳴の主の、白い尻がふるふる揺れた。










 そう、俺の尻が。

 悲鳴を上げたの、俺。

 きゃーって言ったの、俺。

 そう、俺である。
 悲鳴を上げそうになったダクネスに先んじて叫んでみたが、俺に叫ばれたダクネスは逆にわたわたと慌て出した。

「お、おいっ! そこは私が悲鳴を上げる所だろう!? こっ、こらっ、やめっ! 私は風呂場の掃除に来ただけだ! 誰か来たら私が誤解されるじゃないか!」
 耳まで赤くし、そして横に顔を背けたダクネスに、俺は下半身にタオルを巻きながら、
「誤解も何も、男女で同じ屋根の下に住んでるんだから気を付けるべき。そろそろお前のあだ名を痴女ネスにするぞ」

 俺の言葉に泣きそうな表情を浮かべるも、タオルを巻いた俺に、ダクネスは少し安心して目をやった。

 ……そして、その視線が俺のある場所に止まり、急に曇る。
 それは、俺の右腕。
 コロナタイトを素手で掴み、アクアが癒したものの、引きつった火傷の痕の付いた部分だった。

「……それは、先日の戦いで付いた傷か。……すまなかった、本来はクルセイダーである私が仲間の全ての傷を背負うべき所なのに……」
 沈んだ表情のダクネスに。
「これか? まあ、うっかりスティールした自分が悪かったんだよ。こんな傷、男にとっちゃ勲章だ」

 その何気ない俺の言葉に、ダクネスが更に表情を暗くした。

「……勲章、か……。確かに、男にとってはそうなのだろう。だが、女の私の体にも、沢山の醜い傷痕が残っている。……お前は、その醜い傷痕を見ても勲章と言ってくれるのか……?」
 自嘲気味に言うダクネスに、俺は……。

「お前の体を醜いなんて言う奴がいたら、俺がぶっ飛ばしてやる。お前の体はとてもエロく……そして、綺麗だ……。……そして、とてもエロい……」

 その言葉にダクネスが、潤んだ艶っぽい瞳で見つめてくる。
 そして自分の体の傷痕を、見てもらおうとでもするかの様に、着ている服に手を触れた。

 ダクネスはそのまま口を開こうとしたが、その何かを言い出せないでいた。
 目を潤ませながらも、不安げなその表情。

 ここは俺から言ってやるべきだ。

 そう、俺から……。
 ダクネスの両肩を掴んだ俺は……!









「ヴォーレン ヴィア フィッケン? (なあ……スケベしようや……?)」
「ナテュアリッヒ! (バッチこーい!)」








 俺はアンケート用紙を手渡した。
「この設定でお願いします」
「承りました! ではお会計、三時間コース、5000エリスになります。ありがとうございましたー!」

 俺は屋敷には帰らず、そのまま馬小屋に駆け出した。
分かりにくいですが屋敷から出た後がアンケート用紙の中身です。
ドイツ語適当。

次回はちゃんとストーリー進めて賞金首の報酬回。ちょっと主人公が報われます。








今回も謝らない


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