「ようこそ死後の世界へ。私は、あなたに新たな道を案内する女神、エリス。佐藤和真さん、あなたは本日午後15時25分に亡くなりました。辛いでしょうが、あなたの人生は終わったのです」
目が覚めると、そこは中世の神殿の中みたいな部屋だった。
そこに、唐突に俺は突っ立っている。
そして、目の前には神殿の中央に佇む、エリスと名乗る一人の女神。
ゆったりとした白い羽衣に身を包み、長い白銀の髪に白い肌。
凄まじい美貌ながらも、その表情にはどこか陰りが感じられる。
エリスと名乗った女神様のその青い瞳が、呆然と立つ俺を哀しげに見つめていた。
その女神の言葉を聞き、改めて自分が死んだ事を自覚する。
うん、この感じは覚えがある。
俺があの訳の分からない世界へ行く前に、あの自称女神に会ったのも、そういえばこんな感じで唐突に立っていた。
確かに、死ぬ直前の記憶がある。
ああ、俺はまた死んだのか。
そう思った瞬間、俺は自分の頬を熱い物が伝ったのに気がついた。
日本で最初に死んだ時はこんな事は無かったのに。
なんてこった。
俺は大嫌いだと思っていた、あの訳の分からない世界の事が案外気に入っていたらしい。
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「交渉は上手くいった。それどころか、手間賃さえ貰えればそのシュッてするヤツとやらの生産も手伝ってくれるらしい」
ダクネスが、屋敷に帰ってきて交渉の結果を教えてくれた。
良い感じだ、シュッてするヤツさえ作れれば後は薄い鉄板を加工すればなんとかなりそうだ。
「あ、でも宝島の時に大量の鉱石が出回った所為で、未だに忙しくて今週は教えてる暇が無いそうです。なので、しばらく経ったら店の方に来て欲しいと……」
ダクネスに付いてっためぐみんが補足する。
別に慌てる様な話じゃないし、一週間や二週間ぐらいちっとも構わない。
その旨を伝えると、ダクネスとめぐみんはまた店に顔を出した時にでも伝えておいてくれると言ってくれた。
それに、アクアがウズウズした様に立ち上がった。
「それじゃ、今日もサクッと稼ぎに行きますか! 少しでも元手稼いでおかないとね!」
「……む、珍しい。コボルトの群れの全滅なんてクエストがあるぞ。場所は、以前アクアが浄化した湖の近く。どうする?」
ギルドの掲示板でクエストを物色していたダクネスが、一枚の張り紙を持ってきた。
コボルト。
言うまでも無いメジャーモンスターで、非常に弱いのに討伐金額はそこそこ高い、美味しい部類のモンスターだ。
弱いが繁殖力が旺盛で、大量に増えると人を襲ってきたりもするので、見つけたらすぐに討伐依頼が出され、依頼が張り出されるとすぐに受けられてしまう。
そんなクエストが残っていたのは幸先が良い。
「おし、それじゃコボルト討伐、サクッと行っとくか」
確かタルラン湖とか言ったと思う、いつかの湖にやって来た。
ここにコボルトがウロウロしているって事らしいのだが……。
「……おいめぐみん、どうした? 大丈夫か?」
「い、いえ……。大丈夫です、特になんともないですから……」
めぐみんの顔色が真っ青だ。
酷く具合が悪そうで、杖に寄り掛かるようにして歩いている。
確か屋敷に居た時はこんな感じでは無かったのだが。
「おいアクア、回復魔法とか掛けてやってくれよ、なんかめぐみんが辛そうだ」
俺の言葉に、アクアがめぐみんに魔法を掛けようとするが……。
「……ダメね。これは魔法じゃ治らないわ」
アクアがゆっくりと首を振った。
そんなに重傷なのか?
アークプリーストのアクアにも治せないとなると、コボルト狩りなんてしている場合じゃない。
「おいめぐみん、クエストはキャンセルだ。背中におぶされ。今日は帰るぞ」
俺がめぐみんに言って背を向けるも、何故かめぐみんは首を振り、その場から動こうとはしない。
そんなめぐみんの代弁でもするかの様に、ダクネスが俺の肩をぽんと叩いた。
「……察しろ。冒険者だって人間だ。毎月、具合の悪い日だって出てくる」
……………………なるほど。
「べ、別に私はそういうんじゃないですけどね!? 紅魔族に生理なんてありませんし。ちょっとだけ具合が悪いだけですし!」
「勿論女神も生理なんて無いけどね!」
めぐみんを庇ったダクネスの言葉に、めぐみんとアクアがこぞって無理のある事を言い出した。
せっかく庇ったダクネスへの予想外の裏切りに、頬を赤くしたダクネスがちょっと震え声で。
「わ、わ、私もクルセイダーだから……、せ、生理なんて……! ううっ……」
「おい止めろ、バカ二人に対抗すんな。と言うか、お前も日頃はもっと恥ずかしい事口走ってる癖に、こんな時だけ赤くなるな!」
赤い顔で涙目になるダクネスが、両手で顔を覆い隠した。
こいつの羞恥心の基準はどこにあるのか。
「まあめぐみんが大丈夫だって言うなら別にいいが。でも、無理はするなよ?」
コボルトの集団は、俺の敵感知ですぐに見つかった。
湖のほとりで魚でも捕まえようとしてるのか、湖に入ってバシャバシャと暴れている。
俺達は茂みに潜伏したまま、そんなコボルト達の様子をうかがっていた。
シベリアンハスキーみたいな顔をした二足歩行の獣人達は、鼻が良いのか、潜伏スキルを発動中の俺達の方をしきりに気にして、その鼻をひく付かせていた。
潜伏スキル発動中とはいえ急いだ方が良さそうだ。
俺は、隣のめぐみんに合図を送る。
十数匹はいるコボルト達は、その殆どが一ヶ所にまとまっており、今ならめぐみんの魔法で一網打尽にできそうだ。
万が一討ち漏らした時に備え、俺は刀に似た形状の片手剣を引き抜く。
「よし、頼む」
俺の言葉にコクリと頷き、めぐみんが魔法を唱えた。
「『エクスプロージョン』ッッ!」
めぐみんの杖の先から閃光が走り、コボルト達の群れのど真ん中に突き刺さる。
周囲を揺るがす轟音と共に、湖に巨大な波紋と波を起こし、コボルトの大半が爆発に巻き込まれて消し飛んだ。
だが、やはり今日のめぐみんは不調なのか、数匹のコボルトが爆発の影響範囲から免れ生き延びていた。
「クエストはコボルトの群れの全滅だ、逃がすな! 行くぞダクネス! アクアはめぐみんの傍に居てくれ!」
俺はダクネスと並んで茂みから飛び出すと、数匹の生き残ったコボルト達に駆け出した。
重量のある鎧の所為で、ダクネスは俺の後ろから遅れて付いてくる。
「いつも通りに行くぞ!」
「分かった!」
俺はダクネスに叫び、コボルトの一匹へと斬りかかる。
一撃で致命傷を負わせるには至らなかったが、狙いは違わず、コボルトの腕に手傷を負わせた。
斬られたコボルトがビクリと震え、その動きが止まる。
麻痺の状態異常でも喰らったらしい。
俺はそのコボルトにはもう目もくれず、二匹目のコボルトへと斬りかかった。
生き残っていたコボルト達は、爆裂魔法で耳でもやられたのか、反撃する事もなくふらついている。
俺が傷つけ動けなくしたコボルトに、ダクネスが両手で構えた大剣を、大上段に振り上げて斬りかかった。
頭の先から腹の辺りまでをザックリと切り裂かれ、コボルトが命を落とす。
俺が傷つけ動きを止めて、攻撃力はあるが当たらないダクネスが、トドメを刺す。
これがここ最近の俺とダクネスの連携だ。
普段は攻撃がまるで当たらない子のダクネスだが、流石に止まっている相手には当てられる。
俺は攻撃はちょこちょこ当てられるのだが、一撃の火力が無い。
ここ最近はこんな感じで、俺とダクネスは経験値を稼いでいた。
「よし、最後の一匹だ。……ふう、楽勝だったな」
俺は最後のコボルトに傷を負わせ、コボルトを昏睡状態に陥らせた。
地面に寝転がったコボルトに、ダクネスが遠慮なく大剣を振るい首を刎ねた。
俺はコボルトの死体に向けて、ナムナムと両手を合わせる。
人に危害を加えるモンスターなのだし、俺達も金がいるのだから仕方が無いが、死んだコボルトの冥福を祈ってやるぐらいはいいだろう。
本当はこういった事はアクアの仕事なのだろうが、当の本人はめぐみんの傍でのん気に欠伸している。
俺とダクネスがめぐみんとアクアの元へと歩いて行くと、アクアが手をヒラヒラと振り、
「お帰りー。今日はいつに無く楽勝だったわね。それじゃ、めぐみんの生理痛が酷くなる前に帰りましょうか」
「せ、生理じゃないから……っ! ちょっとお腹が痛くて血が出て、微熱があるだけで何ともないから……っ!」
それが生理なんじゃ? と思うが、こう言った微妙な話は、突っ込むと女性陣の痛い視線に晒されるのでほっておく。
さて、帰るかと言おうとしたその時だった。
ダクネスが、遠くのある場所を見つめている。
一体なに見てんだと、俺もそちらを見ると。
何だか、見覚えがある黒い塊がそこに居た。
ダクネスがぽつりと言った。
「……初心者殺しだ」
初心者殺しに追い掛けられるのはこれで二度目になる。
「嫌ー! もう初心者殺しにかじられるのは嫌よぉっ!」
アクアが叫び、涙目でひた走る。
湖から街まではそれほど遠くはない。
街が見える場所まで逃げ切れれば、警戒心の強い初心者殺しは諦めて立ち去る事だろう。
「おいアクア、言ってないでとにかく逃げろ! おいお前らも、街までの辛抱だ! 何とか……!」
俺はアクアと並走しつつ、後ろに付いて来ていた二人を……!
振り返った俺が見たのは、重い鎧の所為で遅れ気味のダクネス。
そして……。
体調不良の為か、青い顔で最後尾でよろめくめぐみんの姿だった。
そのすぐ真後ろには初心者殺しが迫っている。
俺は意を決すると、いつぞや初心者殺しに使ったあの手を思い出し、身を翻していた。
「『クリエイト・アース』!」
手の平に生成されるのは一握りの良質の土。
「ちょ、ちょっとカズマ! 何する気!?」
戻る俺に、アクアが叫ぶ。
引き返してくる俺を見てダクネスが驚き、そして自分の後ろのめぐみんを振り返り、ダクネスはその場に足を止めた。
「カズマ! しんがりは私が務める! めぐみんを連れて行ってくれ!」
そんな事を叫んでくるが、俺はみんなで逃げる道を選びたい。
あの時だって出来たんだ。大丈夫、きっと上手くいく。
引き返してくる俺を見て、めぐみんが驚き、叫んだ。
「カズマ!? 一体何を……!」
そして、めぐみんは俺が握っている物を見て何をする気か察した様だ。
めぐみんはそのままスッと道を開け、
「『ウインドブラスト』ッッッ!」
初心者殺しの前に出た、俺の放った風の魔法が手の平の土を吹き散らした!
初心者殺しは俺の魔法にビクリと震え、その顔を地に伏せて……!
……はっ?
初心者殺しは、そのまま何事も無かったかの様に俺へと飛び掛かってくる。
ああ、そうか。
俺は思い出していた。
確か、初心者殺しは狡猾で……。
目の前に、初心者殺しの牙が迫る。
ああ、そうか。
こいつはあの時、俺が目潰し喰らわせた初心者殺しだ。
この頭の良い狡猾なモンスターは、きっと、学習したのだろう。
そうだよなあ。
モンスターだってバカじゃないよな。
「カズマーっ!!」
それは誰の声だったのか。
俺は初心者殺しの巨体の影により暗くなる目の前に。
「この毛玉が! 止めろーっ!」
どうか、麻痺か昏睡が発動します様にと願いながら、
「あああああっ!? カズマぁ!」
不死王の手を発動させた右腕を、初心者殺しに突き出していた。
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俺は目の前の、エリスと名乗った女神に問い掛けた。
「……あの、いいですかね? 俺を殺したあのモンスター、あの後どうなったか分かりますか?」
俺の心残りは、あの後ちゃんとスキルが発動し、あいつらを助けられたのか、だ。
俺が日本から来るきっかけになったあの時は、唯の無駄死にだった訳なのだが。
今回は、俺の死は役に立ったと思いたい。
「ええ、あなたを襲った初心者殺しは、あの後深い昏睡状態になり。あなたの仲間のクルセイダーが、ちゃんとトドメを刺しました」
俺はほっと息を吐く。
何だか、初めてアクアと会った時もこんなやり取りがあったなと思い出しながら。
そんな俺を見て、女神エリスは哀しげな目で俺を見た。
「佐藤和真さん。せっかく平和な日本からこの世界に助けに来てくれたのに、この様な事になり……。異世界からの勇敢な人。せめて私の力で、次の人生は、平和な元の世界、日本で、裕福な家庭に生まれ、何不自由なく暮らせるように。せめて、そんな所に転生させてあげましょう」
女神エリスの言葉に、ああ、そうかと思い出す。
死んだら、天国でお爺ちゃんみたいな暮らしをするか、赤ちゃんからやり直しなんだっけ。
この訳の分からない世界でもう一度人生やり直せた事が異常だったんだ。
短い間だったが、最後に少しだけ楽しめたと思っておこう。
あの迷惑な連中と会えなくなるのは、少しだけ。
ほんの少しだけ、寂しいが。
そんな俺を見て、エリスが哀しそうにそっと目を伏せた。
そして俺に右手を向けて、
《さあ帰ってきなさいカズマ! 何こんなあっさり殺されてんの! 死ぬにはまだ早いわよっ!》
それは突然聞こえてきたアクアの声。
神殿みたいなこの空間に、ドップラー効果みたいに大音量で響いている。
「ちょ、何事っ!?」
俺は驚きの声を上げる。
そして、驚いたのは俺だけでは無かった様だ。
「なっ!? この声は、アクア先輩!? 随分先輩に似たプリーストだなと思っていたら、まさか本物っ!?」
女神エリスは、信じられないと言った表情を浮かべ、大きな声を上げていた。
《ちょっとカズマ、聞こえる? あんたの身体に『リザレクション』って魔法をかけたから、もうこっちに帰って来れるわよ。多分、今あんたの目の前に女神がいるでしょ? その子に門を開けてもらいなさい》
再び聞こえるアクアの声。
おおう……。
マジかよ女神様、とんでもない事してくれやがった!
「おし、待ってろアクア! 今そっちに帰るからなっ!」
俺の声が向こうに届いているのかは分からないが、俺は叫びながら、飛び跳ねて喜んだ。
「ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってください! ダメですダメです、申し訳ありませんが、佐藤和真さん、あなたはすでに一度生き返ってますから、天界規定によりこれ以上の蘇生は出来ません! 私からはアクア先輩に声が届かないので、そう伝えてはくれませんか?」
女神エリスが、慌てながらそんな事を言って来た。
おいマジか。ぬか喜びか。
「おいアクア、聞こえるかー!? 何か、俺って一度生き返ってるから、天界規定とやらで、もう生き返る事はできないんだってよー!」
俺は何も無い場所に向かって、空を見上げながら叫んでみた。
すると、一瞬静まり返り……、
《はあー? 誰よそんなバカな事言ってる女神は! ちょっとあんた名乗りなさいよ! 仮にも地球担当のエリートな私に、こんな辺境担当の女神がどんな口効いてんのよっ!!》
おい、止めろ。
目の前の女神様が凄く引きつった顔してる。
「えっと、エリス様って女神なんだけども……」
俺はアクアに呼びかけた。
すると、アクアは素っ頓狂な声を上げる。
《エリス!? ちょっとこの世界での国教として崇拝されてるからって、調子こいてお金の単位にまでなった、上げ底エリス!? ちょっとカズマ、目の前の女がそれ以上何かゴタゴタ言うのなら、その胸パット取り上げてやんなさ「わ、分かりましたっ! 特例で! 特例で認めますから! 今、門を開けますからっ!」
アクアの喚き声を遮ると、女神エリスは胸の前で腕を組み、顔を赤らめて指を鳴らした。
俺の目の前に、飾り気の無い白い門が現れる。
全く、アクア先輩は相変わらず理不尽な……とか、目の前の女神はぶつぶつと気の毒そうな事を言いながら。
「……さあ、門は開けました。……全く、こんな事普通は無いんですよ? 本来なら、魔法で生き返れるのは王様だろうがどんな人だろうが一回まで。……全く。…………カズマさんと言いましたね?」
「えっ、あ、はいっ!」
女神エリスに名前を確認され、俺は上擦った声で返事をする。
ウチのあれと比べると、やはり相手はちゃんとした女神。
しかもとびきりの美女だ、どうしたって緊張はする。
今まで、ずっと哀しげな目をしていたその女神は。
しょうがないと肩を落としながらも、イタズラっぽく片目を瞑り、少しだけ嬉しそうに囁いた。
「この事は、内緒ですよ?」
俺は苦笑を浮かべると、そのまま白い門を開け……
「カズマっ! カズマ、起きてくださいっ! カズマあああああっ!」
俺にすがって泣くめぐみんの声。
……?
何か、右手が暖かい。
ふと視線をやると、ダクネスが俺の傍に片膝を付き、俺の右手を両手で握り、祈るように目を閉じていた。
俺は頭の上に気配を感じ、そちらに視線をやる。
と、俺を見つめるアクアと目が合った。
「……あ、やっと起きた? ったくあのパット女神、頭固いんだから全く」
俺はそんなアクアの声を聞きながら、後頭部が暖かいのが気になっていた。
……おっと。
アクアが膝枕してくれていたらしい。
俺が目を覚ました事に、めぐみんとダクネスが気が付き、二人は無言で俺を抱き締めてきた。
生き返れた事を喜んでくれるのは良いんだが、何か無性に照れ臭いんですが!
そんな俺の様子に気付き、アクアがにやにやと笑みを浮かべるのが憎たらしい。
くそ、あのまま帰らず、日本で生まれ変わって金持ちのボンボンとして暮らしておくべきだったか。
「ちょっとカズマ、照れてないで何とか言いなさいよ。私達に何か言う事あるでしょう?」
にやにや笑みを浮かべ、アクアがそんな事を言ってきた。
この駄女神が、エリス様と取替えっこ出来ないかな。
俺はアクアにぽつりと言った。
「…………エリス様と、チェンジ……」
「上等よ、このクソニート! そんなにあの子に会いたいなら、今すぐ会わせてあげようじゃないの!」
額に血管浮かべたアクアが叫び、俺を押さえつけながら拳を光らせ、殴りかかる体勢になる。
こいつは、なんて気の短い女神なんだ。
俺は照れ臭さを隠す様に、心の中でだけ呟いた。
……………………ただいま。
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