しかし韓国内部に目を向けてみると、このような当たり前の話が力を失っている。「自主国防」という用語が消えて既に久しい。安全保障問題を持ち出すと、韓国政府関係者の口からは「韓米同盟」という単語ばかり繰り返し流れ出る。韓米同盟は重要だが、米国にばかり期待しようとする「小国根性」を克服しないと、むしろマイナスになる。最近、米日の政治家たちが「集団的自衛権は韓国のためのもの」と発言している。この発言からは、北朝鮮の34倍にもなる多額の軍事費を毎年つぎ込みながら「単独では(北朝鮮に)負ける」と語る韓国軍への「侮り」が感じられる。米国の目に韓国は、中ロけん制の面で一定の役割を果たすどころか、北朝鮮の相手すらできない「弱い国」と映っているのかもしれない。
北東アジアの激変する情勢など見向きもせず政争に明け暮れている韓国政界の姿を見ていると、ため息が出る。日本は、牛海綿状脳症(BSE)騒動に飲み込まれた李明博(イ・ミョンバク)政権を軽く見た5年前と同じように、国家情報院(国情院)ネット書き込み問題の泥沼から抜け出せない朴槿恵(パク・クンヘ)政権も軽視する姿勢をはっきり見せている。「韓国は内部から滅びる国」と考えているのではと、心配だ。韓国は今、国民1人当たりの所得が2万4000ドル(約244万円)に達し、檀君(伝説上の古朝鮮の王)以来最も良い暮らしができる時代を迎えている。こうした時に自分を守る力を養わなければ、この先63年前と同じ緊迫した状況はもう来ないと、誰が保障できるだろうか。