なんと不思議なご縁で、テーラワーダ仏教協会のスマナサーラ長老と対談させていただく機会をいただけそうです。仏教の勉強を始めたばかりで、このような機会をいただけるのはホントに「有り難い」ことです。うーん、人の縁は本当にすごい。
仏教は宗教ではない
本来の仏教に、秘密の教えはありません。証拠もなくただ「信じなさい」とも言いません。その意味で、仏教は宗教ではありません。
現在、編集者の方とタイトルや内容についてディスカッションをしています。ぼくの方からタイトルの希望として出させていただいているのが「仏教は宗教ではない」という仮題。
逆説的な感じがすると思いますが、上でスマナサーラ長老の言葉を引用しているように、ごく普通に、仏教は宗教ではないと考えられます。どういうことか。
宗教とは、何かを信仰することです。信じることです。「この世に神がいるかどうか」はわからないけれど、とりあえず「いるもの」としてそれを「信じる」ことが、宗教です。
仏教は、何かを信じることを推奨する思想ではありません。むしろ「信じるな!」とすら、仏教は教えています。
ブッダが語る言葉は「真理」だとされています。真理というのは、数学の定理のようなもので、誰が観察しても変わらない事実です。そうした「真理」を理解することを「信仰」と呼ぶのは、かなり違和感があることです。1+1=2は、信じるまでもなく1+1=2ですから。
お釈迦様が説いたのは「真理」です。真理は、誰が語っても、いつの時代でも変わらないものです。お釈迦様は真理を提示して、「自分で調べなさい、確かめなさい、研究しなさい」という態度で教えたんです。「私を信じなさい」とは、まったく言っていません。
で、大変残念なのは、仏教が宗教のひとつとしてカテゴライズされており、怪しい新興宗教までごっちゃになって否定的な見方をされてしまっていること。ホントに、日本だと「宗教の勉強をしています」というだけで、「そういう人」として見られちゃいますからね…。
ぼくはブッダの教えは、四書五経に近いものだと理解しています。「論語を勉強しているんです」というと「へー!すごいね!」と言われるのに、「仏教を勉強しています」というと「へー…」と距離を置かれるのは、ホント変な話。
一度読むとわかりますが、ごく普通に、人間として成熟する上で参考になる教えが詰まっているのです。知的好奇心を満たすという意味で、ものすごく面白い考え方です。もっと多くの人に、この考え方に触れてもらいたいと願っております。
「仏教は宗教ではない」という仮題には、そんな意図がこもっています。まだ編集段階なのでどうなるかはわかりませんが、個人的にはゴーサインを出したい気分…。出版は順調にいけば来年春くらいになると思いますので、乞うご期待です。なんせ長老がコンテンツリッチなので、みなさんに楽しんでいただける内容になるはずです。
ちなみにスマナサーラ長老は、同じくブロガーの小飼弾さんと対談していたりします。こちらも面白い作品ですのでぜひ。