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【特定秘密保護法】

秘密保護法 識者ら訴え 独立の監視機関必要

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 数々の不安や懸念が解消されないまま、特定秘密保護法が成立した。政府は制度の細部を詰め、一年以内に施行する予定。識者は、恣意(しい)的な運用や国民の「知る権利」の侵害を防ぐため、独立性のある第三者機関のチェックが「最低限の条件」だと強調する。問題点を追及する報道や、国民が関心を持ち続けることが重要との声も上がった。 

 政府は法成立の直前、秘密のチェック機関として(1)指定や解除、適性評価の基準を定める「情報保全諮問会議」(2)警察庁長官や外務、防衛両省の事務次官らで組織する「保全監視委員会」(3)公文書廃棄の可否を判断する「独立公文書管理監」(4)外務、防衛両省の職員ら二十人規模で内閣府に置く「情報保全監察室」−の設置を打ち出した。

 さらに成立後、石破茂自民党幹事長が秘密の内容を監視する常設の委員会を衆参両院に置く考えを示した。

 しかし、田島泰彦上智大教授(メディア法)は「行政機関のほぼ一存で、非常に広範な情報を秘密に指定できる根本に手を付けず、チェックするのには限界がある。法施行させないことが一番だ」と指摘する。

 その上で「施行するならば最低限、行政の外部に監視機関を設け、独立した立場で秘密にアクセスする必要がある。この要件を満たさなければチェックの役割は果たせない」と言い切る。

 公文書管理に詳しい都留文科大講師の瀬畑源さん(日本現代史)も「保全監視委員会は政府内部で秘密を統制するにすぎない。各省庁で、その人たちの部下に当たる官僚がメンバーの情報保全監察室が、独立した公正な立場でチェックできるわけがない」と批判する。

 監視のシステムを少しでも良くするにはどうすればいいのか。

 瀬畑さんは「人事院のように監察室に内閣からの独立性を担保し、秘密を解除する権限も持ってチェックさせる。さらに諮問会議が監察室の活動を監視する。少なくともこの仕組みは必要」と根本的な見直しを求めた。

 田島教授は、法の内容を十分知る必要性を訴える。「情報源に厳罰を科す法律が施行され、情報が出なくなれば、知る権利は実現できない。メディアはより明確に、より深く問題点を提示して、法を施行させない取り組みを続けてほしい」

 精神科医の香山リカさんは「市民感情としては『特定秘密』という言葉に警戒心を抱いているのが現状だろう。関心を持ち続けることが大事」と語った。

 多くの映画監督や作家、学者などが反対の声を上げたことには「この件は政治的スタンスを問わず、幅広い層が『問題だ』と思っている。もっともっとアピールすべきだ」と話している。

 

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