Updated: Tokyo  2013/12/10 20:12  |  New York  2013/12/10 06:12  |  London  2013/12/10 11:12
 

12月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

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  (ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。

◎NY外為:ドルが対円上昇、緩和縮小の確率高まったと連銀総裁

9日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で続伸。セントルイス連銀のブラード総裁が労働市場の改善に伴い債券購入縮小の可能性が高まったとの認識を示したことが背景。

ドルは対円でほぼ5月以来の高値付近となった。ブラード総裁が言及した11月の雇用統計では、雇用者数が市場予想を上回る増加となり、失業率 は5年ぶり低水準の7%に低下した。この日の英ポンドは対ユーロで5日ぶりに上昇した。

みずほフィナンシャルグループの米為替セールス責任者ファビアン・エリアソン氏(ニューヨーク在勤)は「まだ雇用統計が材料だ」と述べ、「ようやく状況が明確になり始めており、市場は米当局者の発言に耳を傾けている」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.4%上昇して1ドル=103円27銭。今月3日には103円38銭と、5月23日以来の高値となった。ドルは対ユーロで0.2%下げて1ユーロ=1.3739ドル。円は対ユーロで0.6%下落して1ユーロ=141円88銭。

円下落の見通し

米商品先物取引委員会(CFTC)の週間建玉報告によると、先物トレーダーは円が対ドルで下落するとの見方を強めた。ヘッジファンドなど大口投資家による円のネットショート(売り越し)は3日時点で13万3383枚と、2007年7月以来で最大となった。前週は12万3202枚だった。

ファロス・トレーディング(コネティカット州スタンフォード)の調査責任者ダン・ドロー氏は「リスクが前向きに取られている状況は株価にとって支援材料となる。このことを考えると、対円でのドルが上昇するだろう」と述べた。   

ポンドは対ユーロで5日ぶりの上昇。イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁はニューヨークで講演し、英国の経済ニュースが前向きな内容になっているとの見解を示した。英中銀は5日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利であるレポ金利を過去最低の0.5%に据え置くことを決めた。

1日当たりの取引高が5兆3000億ドルに上る為替市場で、ファンドや電子取引を利用したトレーダーの割合が初めて全体の半分強を占めた。

国際決済銀行(BIS)が8日公表した四半期報告書によれば、為替市場の1日当たり取引高は2010年の約4兆ドルから増加。増加分の67%をヘッジファンドと年金基金、中央銀行と中小行が占めている。これらヘッジファンドなどの市場シェアは48%から53%に拡大。顧客との間で売買を行うディーラー銀行のシェアは39%で変わらずだった。

緩和策縮小の可能性

米連邦公開市場委員会(FOMC)は17-18日に会合を開く。ブルームバーグ・ニュースが6日実施したエコノミスト調査によると、34%は1月か3月まで待たずにFOMCが今月の会合で月間850億ドルの緩和策を縮小する可能性があるとみている。

ブラード総裁は9日、セントルイスで講演。事前に配布された原稿によれば、「小幅な縮小であれば、連邦公開市場委員会(FOMC)としては労働市場の改善を認めると同時に、来年前半にインフレ動向を注意深く監視する機会が得られる可能性がある」と指摘。「インフレが目標に向かって上昇しないようであれば、委員会はその後の会合で縮小を休止することも可能だ」と続けた。ブラード総裁は今年のFOMCで投票権を持つ。    

先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ドルは年初から3.4%上昇。ユーロは8.1%の値上がり。一方、円は14.8%下落した。

原題:Dollar Rises Versus Yen as Fed’s Bullard Says Taper OddsRise(抜粋)

◎米国株:小幅続伸、S&P500種は最高値-緩和縮小時期を見極め

米株式 相場は小幅続伸。S&P500種株価指数は過去最高値を更新した。財政協議が続くなか、金融当局の緩和縮小時期を見極める展開となった。

食品や関連製品の供給を手掛けるシスコ・コーポレーションは9.7%上昇。同社は非公開会社のUSフーズを35億ドル(約3600億円)で買収することで合意した。医薬品開発のギリアド・サイエンシズは1.6%高。C型肝炎治療薬の販売が認可された。一方、マクドナルドは1.1%安。11月の売上高がアナリスト予想に届かなかった。

S&P500種 株価指数は前週末比0.2%高の1808.37で終了。ダウ工業株30種平均は5.33ドル(0.1%未満)上げて16025.53ドルで終えた。

グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド最高投資責任者(CIO)は「緩和縮小観測および、景気が力強くなっていることが縮小の理由であるとの見方に、市場の不安は軽くなってきている。結局、緩和縮小は良いことであって悪いことではない。来週は縮小の時期をめぐって憶測が強まるだろう」と語った。

ブルームバーグが6日に実施したエコノミスト調査によると、17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で月850億ドルの債券購入の縮小が始まるとの予想は全体の34%となった。11月の調査では17%だった。来年3月に縮小が始まるとの予想は11月時点で53%、今回の調査では40%となっている。

ブラード総裁

セントルイス連銀のブラード総裁は、労働市場の改善に伴い債券購入縮小の可能性が高まっているとの認識を示した。その上で低インフレの状況を考慮し、縮小する場合でも小幅にとどめるべきだと指摘した。

総裁は9日、セントルイスで講演。事前に配布された原稿によれば、「小幅な縮小であれば、FOMCとしては労働市場の改善を認めると同時に、来年前半にインフレ動向を注意深く監視する機会が得られる可能性がある」と指摘した。

ダラス連銀のフィッシャー総裁はシカゴでの講演で、現在の緩和ペースは「想定された効果よりはるかに高いコストを伴っている」と述べ、「できるだけ早期の機会」に緩和縮小を始めるべきだとの認識を示した。

金融当局は財政協議の行方も注視している。10月30日のFOMC声明は「財政政策が経済成長を抑制しつつある」と指摘している。リッチモンド連銀のラッカー総裁はこの日、財政協議が企業の雇用や投資の決定に影響していると指摘した。

13日までに歩み寄りも

財政協議の交渉担当者は強制歳出削減を緩和する合意に近づいており、協議が難航した過去3年間の悪循環が断ち切られる可能性がある。予算協議で交渉責任者を務めているライアン下院予算委員長(共和、ウィスコンシン州)とマリー上院予算委員長(民主、ワシントン州)の側近によると、今月13日の期限までに歩み寄れると両委員長は楽観している。

10月に16日間におよぶ政府機関の一部閉鎖を終わらせた合意により、与野党議員29人から成る予算問題を協議する上下両院超党派委員会が設立された。

TIAA-CREFアセットマネジメント(ニューヨーク)のグローバル投資ストラテジスト、ダニエル・モリス氏は「緩和縮小に絡んだ売りは一時的なものになるというのが当社の基本的な見方だ。バリュエーションと収益は良好だ。米国株はバブルのようには見えない」と述べた。

S&P500種は年初から27%上昇。構成銘柄の予想株価収益率(PER)は16.2倍となっている。過去10年の平均は14.9倍。

米国の家計資産は7-9月(第3四半期)に前期比で増加した。住宅市場や株式市場の改善が寄与した。米連邦準備制度理事会(FRB)の9日発表によると、家計と非営利団体の純資産は前期比1兆9200億ドル(2.6%)増加して77兆3000億ドルとなった。

S&P500種の10セクターのうち8セクターが上昇。素材株がけん引役となった。

原題:S&P 500 Rises to Record on Fed Taper Bets Amid BudgetTalks(抜粋)

◎米国債:10-30年債利回り差が9月以降で最小-インフレ抑制観測

米国債市場では10年債と30年債の利回り格差がここ10週間余りで最も小幅となった。金融当局が債券購入の縮小を開始するとの見方から、インフレは低水準にとどまるとの観測が広がった。

10年債利回り は約1週間ぶりの小幅なレンジで推移。セントルイス連銀のブラード総裁は低インフレの状況を考慮し、資産購入の縮小を開始する場合でも小幅にとどめるべきだと指摘した。またダラス連銀のフィッシャー総裁はできるだけ早期に資産購入の縮小を開始すべきだとの見解を示した。

ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「市場の関心は金融当局およびそのバランスシートの一点に集中しているが、当局はメッセージを変えるような行動は何も起こしていない」とし、「それが起きるまではこの狭いレンジでの推移が続き、利回りの上昇は抑えられるだろう」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前週末比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.84%。この日のレンジは2.83-2.86%で、3日以降で最小。同年債(表面利率2.75%、2023年11月償還)価格は1/8上げて99 7/32。30年債利回り は2bp低下の3.87%。

利回り格差

10年債と30年債の利回り格差は1.032ポイントに縮小。これは終値ベースでは9月24日以降で最小。

米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の売買高は11%減の1950億ドル。年初来の平均は3120億ドル。

メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は67.75に下げた。年初来の平均は71.5。

財務省はあす10日に3年債入札(発行額300億ドル)、11日に10年債入札(同210億ドル)、12日に30年債入札(同130億ドル)を実施する。

トレーダーのインフレ見通しの指標となる10年債と同年限のインフレ連動債(TIPS)の利回り格差(ブレークイーブンレート)は2.13ポイントと、9月13日以来の低水準付近。

イールドカーブ

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード)の政府債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「より大きなインフレリスクが見られた場合、イールドカーブはスティープ化が予想される」と指摘。「インフレ関連の指標が引き続き落ち着いていることから、当社としては10年債と30年債のイールドカーブはフラット化が進む可能性があるとの見方にくみする」と加えた。

商務省が6日発表した10月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で0.7%上昇と、09年10月以来の低い伸びだった。

セントルイス連銀のブラード総裁は、労働市場の改善に伴い債券購入縮小の可能性が高まっているとの認識を示した。その上で低インフレの状況を考慮し、縮小する場合でも小幅にとどめるべきだと指摘した。

総裁は9日、セントルイスで講演。事前に配布された原稿によれば、「小幅な縮小であれば、連邦公開市場委員会(FOMC)としては労働市場の改善を認めると同時に、来年前半にインフレ動向を注意深く監視する機会が得られる可能性がある」と指摘。「インフレが目標に向かって上昇しないようであれば、委員会はその後の会合で縮小を休止することも可能だ」と続けた。ブラード総裁は今年のFOMCで投票権を持つ。

またフィッシャー総裁は債券購入の縮小開始時期について、「できるだけ早期に着手すべきだ」と指摘した。

原題:Treasury Yield Curve Narrowest Since September Amid FedWagers(抜粋)

◎NY金:3日ぶりに上昇、中国で需要増加との観測やドル軟調で

ニューヨーク金先物相場は3営業日ぶりに上昇。宝飾品や延べ棒、コインの需要が増加するとの観測が背景。ドルの軟調も代替投資としての金買いを誘った。ブローカーのゴールドコアは9日のリポートで、最近の価格下落や中国の春節(旧正月)を前に現物需要は増える可能性が高いとの見方を示した。

アロー・インベストメント・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ジョナサン・ガイヤー氏は「軟調なドルが影響している」と指摘。「金現物の需要は順調だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物2月限は前週末比0.4%高の1オンス=1234.20ドルで終了した。

原題:Gold Futures Advance on China Demand Speculation, WeakerDollar(抜粋)

◎NY原油:小反落、ブレントは大幅下落し格差縮める

ニューヨーク原油先物相場は小反落。北海ブレント原油は予想外のドイツ鉱工業生産減少を嫌気して大きく下げたたため、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)に対するプレミアムは縮小した。

エナジー・アナリティクス・グループのディレクター、トム・フィンロン氏は「ドイツ鉱工業生産の数字がブレント下落の原因であることは確かだ」と指摘。「キーストーン・パイプラインがWTIの価格を幾分か支え、ブレントとのスプレッドにはっきりとした影響を与えた。スプレッドは一段と縮小するだろう」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物2014年1月限は前週末比31セント(0.32%)安の1バレル=97.34ドルで終了した。ロンドンのICEフューチャーズ・ヨーロッパで取引されるブレント先物1月限は2.22ドル下げて1バレル=109.39ドル。WTIに対するプレミアム(上乗せ価格)は12.05ドルと、11月11日以来で最小の幅に縮小した。

原題:Brent Crude Declines on German Output as WTI’s DiscountNarrows(抜粋)

◎欧州株:続伸、予想上回る中国輸出増加を好感-インマルサット高い

9日の欧州株式 相場は続伸。中国の輸出が予想を上回る増加となったことが好感された。電気通信銘柄の上げが目立った。

同銘柄では、英衛星電話サービスのインマルサット が5.8%上昇。イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行は4.9%高。筆頭株主が同行株のいかなる発行にも来年5月以前の実施分については反対する意向を表明した。

ストックス欧州600指数 は前週末比0.2%高の317.15で終了。一時は0.2%下落した。世界の主要中央銀行による低金利政策継続を支えに、年初来では13%上げている。

バークレイズ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのストラテジスト、ヘンク・ポッツ氏(ロンドン在勤)は「米緩和縮小が話題の中心だったここ数カ月の状況から議論が動き始めている」とし、「経済は単に中銀の流動性に動かされているのではなく、それよりもっとファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に基づいている」と語った。

9日の西欧市場では、スイスとルクセンブルクを除く16カ国で主要株価指数が上昇。英FTSE100指数と仏CAC40指数はそれぞれ0.1%上げ、ドイツのDAX指数は0.3%高となった。

原題:European Stocks Advance as Chinese Exports Climb; InmarsatJumps(抜粋)

◎欧州債:スペイン債が続伸、投資家信頼感で-ドイツ債ほぼ変わらず

9日の欧州債市場ではスペインとイタリアの国債が続伸。景気回復支援で欧州中央銀行(ECB)が低金利政策を継続するとの観測やユーロ圏投資家信頼感が1年半ぶり高水準近くにとどまったことが手掛かり。

ドイツ国債はほぼ変わらず。同国では10月の鉱工業生産が予想に反して減少した。ECBは先週、域内の経済成長率見通しを上方修正したものの、ドラギ総裁は予見可能な将来にわたり政策金利を低水準に維持することを示唆した。イタリア10年債の同年限のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は年初来の最小に近付いた。

ダンスケ銀行の債券トレーディング責任者、ソーレン・モルク氏(コペンハーゲン在勤)は「ユーロ圏は引き続き、周辺国債のドイツ債への上乗せ利回りが一段と縮小する環境下にある」と語った。

ロンドン時間午後4時39分現在、スペイン10年債利回りは前週末比6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.11%。これは先月29日以来の低水準。同国債(表面利率4.4%、2023年10月償還)価格は0.495上げ102.295となった。

イタリア10年債利回りは4bp下げ4.14%。ドイツ10年債に対するスプレッドは4bp縮小し230bp。8月19日は227bpで、2011年7月以降で最も小幅だった。

ドイツの調査会社センティックスがまとめた12月のユーロ圏投資家信頼感 指数は8。前月は11年5月以来の高水準となる9.3に達した。

ドイツ10年債利回りは1.84%。6日には1.89%まで上げ、10月17日以来の高水準 に達した。

英国債相場は下落し、10年債利回りは前週末比2bp上昇の2.92%。6日には2.98%と、9月18日以来の高水準 となっていた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日、0.145下げ94.355。

原題:Spanish Bonds Rise With Euro-Area Confidence Near 18-MonthHigh(抜粋)Pound Rises for Second Day on Economic Outlook, Carney Comments(抜粋)

更新日時: 2013/12/10 08:01 JST

 
 
 
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