ヤエヤマイシガメ(藤田喜久氏提供)
ミヤコサワガニ(藤田喜久氏提供)
ミヤコヒキガエル(藤田喜久氏提供)
【宮古島】沖縄の生態系などを研究しているNPO・海の自然史研究所の藤田喜久代表らは9日、八重山諸島の固有種であるヤエヤマイシガメが県内外来種として宮古島に定着し、県天然記念物のミヤコサワガニなど希少種を捕食していると発表した。ミヤコサワガニは湧き水がある場所など限られた場所でしか生息できず、貴重な環境が奪われているという。藤田氏は「サワガニの保護、保全のため早急な対策が必要だ」と訴えた。
確認したのは、藤田氏と神戸市立須磨海浜水族館の笹井隆秀氏の研究グループ。
2人はことし8〜10月に、宮古島に生息するヤエヤマイシガメ16個体の胃腸の内容物を調査した。その結果、13個体からミヤコサワガニの体の一部や、宮古島固有種で環境省の準絶滅危惧種に指定されているミヤコヒキガエルの幼生が多数見つかった。
ヤエヤマイシガメは人為的に持ち込まれたとみられ、1992年ごろから宮古島での生息が確認されているが、希少種の捕食確認は初めてという。
藤田氏は海中で生息できないミヤコサワガニが、かつて島全域が海中に沈んでいたとされる宮古島で生息する重要性に触れ「島の成り立ちや、生物がどこから来たかを考える上で重要だ」と指摘。「沖縄は島ごとに生物が少しずつ違い、同じ県内の生き物でも安易な移動は極めて危険だ」と警鐘を鳴らした。
また、藤田氏らは市指定天然記念物の島尻マングローブ林で、八重山諸島のみに分布していた巻貝の一種・キバウミニナを多数確認した。
影響は未確認だが、この巻貝と同じものを食べる在来生物がいるとして生態系への影響などに注意を呼び掛けた。
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