こうしたなか、韓国の政権与党から信じがたい極論も飛び出している。
「核兵器には核兵器で対抗しなければ平和を維持することはできない」
韓国国会で先月20日、与党・セヌリ党の鄭夢準(チョン・モンジュン)議員がこう訴えた。
鄭氏は現代グループの御曹司で、セヌリ党が党名を変える前のハンナラ党時代には党代表を務めたこともある韓国政界の大物。同僚議員も「北朝鮮の核の恐怖に対抗する平和的な核を持つ以外にない」と追随した。
だが、核拡散防止条約(NPT)の締結国であり、北朝鮮に核開発計画の放棄を求める韓国が核武装すれば、国際社会から孤立するのは必至。それでも、こんな極論が飛び出す背景には、米韓同盟をめぐる不安がある。
夕刊フジで「新悪韓論」を連載するジャーナリストの室谷克実氏は「韓国は自分の能力に自信がない。兵器はオンボロだし、兵士の士気も低下している。だから米国に頼るしかないが、米国が本当に韓国を助けてくれるか、信頼できないでいる」と解説する。
それにしても、オバマ米政権は、アジア太平洋に軍事力の重心を移す「リバランス」を掲げているのに、なぜ韓国側の“懇願”を受け入れないのか。そのカギは、日韓関係にありそうだ。
米韓両国が統制権移管に合意した06年10月当時、ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)アジア部長を務めた、ビクター・チャ氏は自著で、韓国が「米国から見捨てられる」恐怖が強まれば、日韓関係は良好になると指摘している。
つまり、日米韓3カ国の連携を強化するうえで、統制権移管はうってつけの妙薬というわけだ。
ところが、「反日妄想」にとらわれている韓国政界は、本来は韓国の安全保障強化にもつながる安倍晋三政権による集団的自衛権の行使容認を、「軍国主義化につながる」との珍説で警戒感を隠さない。他に頼る術もなく、極端な核武装論や、中国への接近など迷走を続けている。
自業自得といえばそれまでだが、朝鮮半島の混乱は日本への波及が避けられない。韓国が反日ボケから目覚める日はいつになるのか。