大詰めTPP:実質合意、道険し シンガポール閣僚会合きょう開幕 日本、関税撤廃92%を提案

2013年12月07日

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TPP交渉の主な対立軸

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の年内妥結を目指すシンガポール閣僚会合が7日開幕する。10日の最終日までに、難航分野の対立点すべてを政治決着する「実質合意」に到達できるかが焦点。日本は今回、10年以内に関税撤廃する品目を92%まで引き上げる提案を行った。関税全廃を迫る米国からの譲歩取り付けが最大の課題だ。米国と新興国が対立する知的財産や国有企業などの難航分野も交渉の行方を左右する。【シンガポール中井正裕、大久保陽一】

 日本からは西村康稔副内閣相が、甘利明TPP担当相の代理として出席。7日は閣僚による全体会合を開くほか、首席交渉官の会合も行う。2国間の協議も行い、対立する難題の調整を進める。

 日本はコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の「重要5項目」の関税を維持する姿勢を堅持しているが、関税全廃を迫る米国との関税交渉は入り口で足踏み状態のままだ。西村氏は出発前、成田空港で記者団に「日本としては譲れないものは一ミリも譲らない決意だ」と語った。シンガポール会合でも日米の関税交渉は「最終日までもつれる」(交渉関係者)との見方が強い。

 また、米国と新興国の対立も根深い。「知的財産」では米国が医薬品の特許期間の延長を求める一方、新興国は安価な後発医薬品(ジェネリック)の普及が遅れ、医薬品の価格上昇につながるとして反対している。「国有企業」では、米国は国有企業と民間企業の対等な競争を求める一方、マレーシアはマレー系住民や企業を優遇するブミプトラ政策の転換に慎重だ。米通商代表部(USTR)のフロマン代表は閣僚会合に先立ち、マレーシアとベトナムを訪れ、両国との懸案の処理を目指したが、いずれも平行線に終わった。

 日本は今年7月の交渉参加以来、各国間の調整役として存在感を示してきた。甘利担当相の欠席が交渉の進展に影響する可能性もあり、代理出席する西村副内閣相の交渉手腕も問われそうだ。

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