軽減税率:調整は山場…自公、時期巡り温度差
毎日新聞 2013年12月10日 07時03分(最終更新 12月10日 07時04分)
食料品など生活必需品に対する軽減税率について、自民、公明両党は消費税率10%への引き上げ後の導入方針を、来年度与党税制改正大綱に明記する方向で最終調整に入ったが、両党の間にはなお温度差もある。自民党は2015年10月に想定している10%への引き上げよりも、軽減税率の導入時期を遅らせるよう主張。同時の導入を求める公明党との綱引きが山場を迎えそうだ。
「導入を『目指す』では駄目で、納税事務は欧州型のインボイス制度でなくてもいい、という共通認識ができた」。公明党税調の北側一雄顧問は、9日の与党税制協議会で自民党から軽減税率導入に前向きな回答が得られたと、記者団に胸を張った。
「納税者の事務負担が増える」と自民党が軽減税率の導入に慎重だったため、この日は(1)価格・税率を明記した書類を売り手が買い手に発行する欧州型インボイス(2)請求書に適用税率ごとに取引額を分けて記載する公明党案−−について、日本商工会議所など5団体から意見聴取。税理士会を含む2団体が公明案を支持し、残り3団体も「公明案はインボイスより簡易だ」と理解を示した。
1月の税制大綱で軽減税率が「年末の大綱までに結論を得る」と先送りされて以降、低所得者対策を重視する公明党は「全面戦争だ」(幹部)と、導入を譲らない姿勢を強調してきた。自民党は当初、企業などからの慎重論を理由に消極的だったが、連立を組む公明党に配慮した安倍晋三首相が11月18日、自民党の野田毅税調会長に導入の検討を指示した。
このため自民党も軽減税率の導入自体は容認し、納税事務を簡素化する公明案についても理解を示した。自民党税調幹部は9日、「軽減税率はやる。自民党も反対ではない」と語った。安倍政権は集団的自衛権の行使容認などの難題を控えて、連立相手の公明党に協調姿勢をアピールしておく狙いもありそうだ。