11月の福島市長選で初当選した小林香市長(54)、広野町長選で初当選した遠藤智町長(52)が9日、初登庁した。職員を前に新たな市政、町政への意気込みを語った。

●小林市長、仮置き場の具体計画示さず

 この日初登庁した福島市の小林市長は、支持者や職員を前に「市政の全責任は私が負う」と意気込みを語った。就任早々、12月定例市議会の対応や副市長選びが控えている。年末の慌ただしい市政スタートになりそうだ。

 小林市長は市職員約200人への訓示で「市役所に対する市民の評判がいま一つよくない。国や県がどうであろうと、市民の命は市役所が守らなければならない」と話した。

 就任後の記者会見では、市長選の争点だった除染について「仮置き場の問題を早急に解決し、早く進めたいと強く思っている」と述べた。ただ、具体的な計画は「しっかりと検討していく」と話すにとどまった。副市長の選定についても「現時点で話すのは適切でない」とした。

 16日から定例市議会が始まる。福島市長選では38人の市議のうち27人が現職を支援するなど、議会の協力を得られるかが課題だ。小林市長は「議会の求めにしっかりと説明し、誠実に対応していくほかない」と述べた。

●遠藤町長「帰町への見舞金、国に求めていく」

 初登庁した広野町の遠藤町長はこの日の就任あいさつで、「時期を見定めて町民に帰町メッセージを出す」との考えを明らかにした。町の生活環境の整備や除染の検証を進めた上で判断するという。

 遠藤町長はまた、賠償とは別に「故郷復興に向けた住民の帰町に対する見舞金を国に求めていく」との考えも示した。

 見舞金については「原発事故で住民は耐え難い苦しみにさいなまれている。帰町に対する心のつぐないだ」などと説明。報道陣から「新たな制度を国に求めていくのか」「すでに帰町している人も対象にするのか」などと問われたが、遠藤町長は「国と協議しながら、あり方を講じていく」と述べるにとどめた。

 広野町には、双葉郡の中高一貫校が設置されることが決まっている。遠藤町長は「新たな教育行政の町として、県や県教育委員会、双葉地区教育長会と力を合わせ、受け入れ支援態勢の整備に全力で取り組む」と語った。