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第十一話

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 ベナウィのよけいな一言で始まった「妻選手権」の内容はさておいて、偵察から帰ってきたトウカはひどく沈んでいた。
 会場周辺にはあからさまな伏兵が潜んでいて、その部隊長は間違いなくシケリペチム連合の一人であったという。


「ま、予想通りだな」
「兄弟、言葉を選べよ」
「ん? 皇城まで来て和議を申し入れるならまだしも、敵地で和議だぞ? ふつう怪しいと思うだろ?」
「使者殿は気づかなかったんだ」


 オボロ、おまえこそ言葉を選べ。
 トウカ殿が今にでも自殺しそうな顔色になってるぞ。
 つうか、誰があの正義バカに刃物を持たせた!?


「ふん!」


 放ったサイキックソーサーで彼女の武器をはじく。


「・・・このようなご迷惑をおかけした、それがしに居きる価値などござらん、死なせてくだされ!」


 今、渾身の・・・・


「サイキックハリセン!」


 すぱーんときれいに決まったところで説教しようと思ったら、すでにトウカを囲む女性陣。


「迷惑かけっぱなしで死ぬってのは、借金したまま逃げるようなものよ!借金返してから逃げなさい!!」と美神さん。
「死を自ら選ぶのは、もっとも愚かしいことです。貴女はまだ選び直すべき道があります。生きなさい」とウルトリィ。
「しんじゃだめです、自殺なんて絶対だめです!!」とエルルゥ。


 ベナウィが唖然とするほどの説得が加えられ、涙目でトウカ殿は「生きて罪を償わせてください」と自ら言った。
 言わされた訳じゃねぇよ?
 ただ、


「死ぬならその体をください」


 というマリアの珍しく流暢な言葉には恐怖してたけど。

 

 

 


 吸収に関しては書面上順調だった。
 伏兵を用意していた集団は、切り離しが決定し、根絶やしにされることが決まった。
 兄弟はそういう処置を嫌うが、逆に必須の行為だともいえる。
 後顧の憂いを絶つのが俺たちの役目だからだ。
 とはいえ、兄弟の懇願を受け、三歳以下の子供は放免とし、トゥスクルの孤児院で育てる事になった。
 子供が背負う未来が明るくなれば、最大の供養になるはずだと兄弟は語る。
 無限に優しすぎるのが兄弟の悪いところだ。
 その優しさは、身内にだけ向けていればいいのに。


 そうそう(怒)、兄弟に女が増えた。


 あのエベンクルガのトウカが、近衛として採用されたのだ。
 エベンクルガが側近にいる時点で周辺各国は国の正常性を確信するし、民も安堵する。
 加えて、城下に巡回にでる兄弟につき従うエベンクルガの存在は民の平静にも一役買うだろう。


 ・・・こいつが「うっかり」じゃなければ。


 一日に何度「拙者としたことが」という台詞を聞いたことだろうか?
 国勢に関わる失敗はないが、細かなところで失敗を繰り返す姿はすでに場内の賭の対象になっているぐらいだ。
 ウルトリィ殿、カルラ殿、レイコ殿の三魔女の主導らしく、兄弟も止めろと言えないとか。
 女はこえーなー、兄弟。

 

 旧シケリペチム領の平定は、各週団及び周辺国の調整が済んでからになるだろう。
 それまではトゥスクル本国の内政に専従するほかない。
 剣を振るう機会はめっきり減ったが、こんな平和な時間を過ごせるのは間違いなく兄弟のおかげだろう。
 心から感謝をするぜ、兄弟。

 

(1,253文字)