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第九話

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 いやー、きたわねー、一万数千年。


 こっちに来る前に封印は解いてもらってるので時間移動はできるだろうけど、ぜんぜん届く感覚無いわよ、あの「時代」。
 「今」からみれば、どれだけ神話なんだか、と思わせるほど、あの事件が神格化されていた。


 家族も仲間も知り合いもすべて時間の彼方で風化しているけど、それでも、横島君がいた。
 それだけで、私は・・・・・


「ところで、横島君」
「・・・なんすか?」
「王様って儲かるの?」
「・・・飢えない程度っすねぇ」
「・・・そう・・・」


 銭儲けができないストレスと闘い続けないといけないのね。
 ま、そんな悩みだって横島君がいるから。
 彼がいるだけで、こんな風に考えられるようになるんだから、あの「時代」の私たちはどれだけ追いつめられていたんだか。


「よ、横島さん。いま、どんな生活をなさってるんですか?」
「ん? ああ。今は、トゥスクルって国で働いててるんだ。そこで、まぁ、この事務所みたいに仕事場兼家って感じかな?」
「へぇ・・・・」
「できれば、おキヌちゃんや美神さんにもその仕事を手伝ってもらえないかなって思ってるんだ」
「あら、立場逆転?」
「いやいや、俺も雇われみたいなものですから」
「じゃぁ、誰が雇い主なの?」
「・・・んー、国民、かな?」


 ずいぶんと苦労して成長したみたいね。


「せ、拙者は!?」
「・・・私だって、何かしてあげてもいいのよ?」
「タマモ、シロ、おまえ達にも手伝ってほしいんだ」


 話を聞く限り、戦国時代ちょっと前の日本って感じね。
 武士が武力を持っていて、その主が政務もこなす、うん、戦国時代と言うよりも三国志ね。
 今いる、オンカミヤムカイという国からトゥスクルという国までは、いわば関東→上越という移動をする必要があるらしいのだけれども、高速道路があるわけでも新幹線があるわけでもない。
 オプタルというトカゲの親玉みたいなものに載って移動が最速になるらしい。


 で、横島君も?


「え? 俺は文珠で最大加速して「走って」来たっすよ?」


 ・・・このバグめ。


「というか、あんまりにも自然すぎて忘れてたんだけど・・・」
「はい?」
「なんで、マリアがいるの?」
「ああ、まだカオスのじいさんが生きてて・・・・」

 

「「「「えええええええ!!」」」」

 

「富山の方の国の現役の神様として奉られてるっすよ」

 

「「「「えええええええ!!」」」」

 

 おどろいた、この一万数千年を、まさか生身で超えてるだなんて・・・。


「・・・ドクターカオスから、タダオさんを手助けするようにいい遣ってます」


 ムカ・・・。
 なんとなく、腹が立ったのは気のせいかしら?


「・・・マリアさん、まえは「横島さん」って呼んでませんでした?」
「この世界では「横島・忠夫」は、神の名前です。だから両方で呼ぶには弊害があります。だから、呼称は「タダオ」で統一されています」


 ・・・・・


「あと伝わっている名前は?」
「美神令子様、氷室キヌ様、お二人の名前も残っています」


 わっちゃー。
 いろいろと面倒ね。


「とりあえず、俺の親戚って事で、どうっすかね?」
「まぁ、それが順当かしら?」
「か、か、家族ですか? それって・・・・」
「おキヌ殿、落ち着くでござる」


 あとはどうやって移動するか、か。


「まぁ、そのまま突っ切るのが一番すけどね」
「あんた、その、しけりぺちむ、だっけ? そこが内戦状態なんでしょ?」
「飛び道具は弓矢。剣と槍の戦争で、どうにかなるようなメンバーっすか?」


 あー、弓矢はイヤだけど、私たちが女であることを考えれば弓矢はないか。
 つまり、そういうこと?
 女がいるからデレデレして出てきたところを正面から撃破。
 その繰り返し? そこまで相手は頭悪いのかしら?


「いや、ほら、戦略が繰り返しなのは誉められませんけど、来たバカを全滅にすれば、毎回初対面なんで、わりと通用しますよ?」


 それがだめなら、茨城、福島と抜けて新潟にはいるという友好国ルートがあるけど、さすがに結構時間がかかるそうだ。


「わたしは、時間がかかっても安全な方がいいと思います」とおキヌちゃん。
「拙者は、「今」の戦場でどれだけ戦働きができるかを試したいでござるな」とシロ
「私は、狐になってヨコシマに運んでもらうわ」とタマモ


「それはやめとけ、タマモ。獣耳やしっぽはこの世界でふつうだが、獣に変わるのは結構まずい」
「ん、耳やしっぽ出していいでござるか?」
「ああ、そういう種族しかいない、っていった方が早いかな」


 ふーん、じゃぁ私たちも何かつけた方がいいかな?
 いや、ついていない横島君の親戚なんだから付いてなくてもいいか。


「まぁ、神魔の末裔であるオンカミヤムカイなんてのもいるけどな」


 ・・・なるほど、さっきから霊力を感じていたけど、そういうことなのね。
 というか、神魔というよりも「魔族」の末裔なんじゃないの?


「うわ、さすが美神さん。速攻でわかりましたね」


 まぁ、始祖が魔族で、途中で転化した、そんなところでしょ?


「俺も詳しいことは聞いてませんけど、間違いないと思うっすよ」


 ふーん、じゃぁ、あのカミュちゃんは先祖帰りっっとこか。


「あんまりその辺は触れないでやってくださいね? 結構本人が気にしてるんで」
「さすがでござるな、先生。女性への気遣いは抜群でござる」
「女性って、おまえ、カミュはまだ子供だぞ?」
「・・・こ、子供で、あの、胸ですか?」
「胸関係ないやん」


 私も少し気になってたのよ、あの巨乳姉妹。
 手を出しちゃいないわよね?


「・・・えー、望郷の念が高まったときに、本泣きして胸を借りた事があるっす」


 まぁ、そのぐらいなら、うん、目をつぶるわ。

 

 

 


 えー、大変なことが起きている。
 兄弟、トゥスクル皇タダオが、オンカミヤムカイから帰ってきたんだが、女が増えた。
 いや、何を言っているか解らんと思うが、俺にも解らん。
 ただ、絶世の美女、柔らかみのある気配の美少女、陽気な気風の美少女、そして薄らと拒絶の意志を感じる美少女。


 あー、なんつうか、エルルゥがこえぇ。


「紹介する。こちらは、以前お世話になっていた仕事場の人たちで、レイコ、キヌ、シロ、タマモ」


 ぺこりと頭を下げる四人に、こちらも答える。
 自己紹介したあと、武官としての適正のあるレイコとシロを俺が試すことになった。


 シロは、こう、まっすぐな剣筋だった。
 修行中だと言うことだったが、今すぐにでも戦場にたてる腕前だった。
 なんでも、兄弟を師匠にしていたと聞けば納得だった。
 が、レイコはスゴかった。
 力が強いわけでもなく、技がスゴいわけでもない。
 が、こちらの仕掛けた攻撃はすべていなされ、向こうおこう撃破確実に当たってきた。
 最後にはベナウィまで参戦してきて、その回避に対する勘目と攻撃に対する感性を賞賛されていた。
 兄弟曰く、戦士と言うよりも指揮官に向いているという事で、将軍職として任についてもらうことになった。
 シロはその下の隊長格になる。
 キヌ・タマモはウルルゥと共に城の内務をしてもらったのだが、これが結構有能だとか。
 キヌは怪我の手当てや料理洗濯等が得意で、タマモは宮内の人事采配に詳しかった。
 なるほど、今の国に不足していた部分である。
 だから、な、エルルゥ、今の仕事を奪ったわけでも、お前が要らないわけでも無いんだ、な?

 

 

 兄弟! ちゃんとかまえよなぁ!!

 

 

 

(2,909文字)