ファンミーティングに参加した虎党の前でポーズをとるルーキー6人【拡大】
即戦力として期待されるD5位の山本は、一風変わった目標を掲げた。ライバルは同じ新人左腕の岩貞でも、他球団の強打者でもない。熱烈虎党の父親だ。
「父親が周りに自慢しまくって恥ずかしいんです。『やめてくれ』と言っているんですが…。即戦力として見られているし、早くチームの戦力になって、父の方が甲子園に来る回数が多くならないようにがんばりたい」
“敵”は巨人より強大かもしれない。父・龍朗さん(57)は1シーズンを通じて、ホーム全試合に駆けつけたこともあるほどの大虎党。掛布DCの現役時のポスターを拝むところから1日が始まり、息子がドラフト指名された際には「応援のために仕事を辞めようかと妻に相談した」というから、熱の入りようは半端じゃない。
今でも年間10試合は、甲子園に足を運んでいるという龍朗さん。その来場回数で、ルーキー左腕は『オヤジ超え』を誓ったわけだが、これがなかなかハードルが高い。
〔1〕甲子園限定であること。〔2〕ブルペン待機するリリーフ陣と違い、先発として期待されていること。〔3〕新人左腕3人が加わり競争が激化すること。これらの高いカベを乗り越えた到達点として、『年間10試合』の数字が見えてくる。
プロの世界へと飛び込む技巧派サウスポーは「目標は榎田選手。先発でも中継ぎでも、チームに求められていることをしっかりとできるところを尊敬している。甲子園で活躍して、今まで以上に父親が自慢できる息子になりたい」と誓った。父に挑み、父と歩む、孝行息子の戦いが始まる。(栃山 直樹)
山本 翔也(やまもと・しょうや)
投手。1988(昭和63)年10月12日、福井県生まれ、25歳。福井工大福井高では2年から主戦投手として活躍。法大から王子製紙(現王子)に進み、1年目から頭角を現す。140キロ台の直球とスライダーなどの変化球で緩急をつける技巧派投球が持ち味。
(紙面から)