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第十四話

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妙神山の続きです〜


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第十四話

 

 横島さんが行方不明になって、仕事もそこそこに捜索していた僕たちでした。
 そんな中、横島さん発見の報を受け集まってみれば、なんと異世界に飛んでいたという。


 さすが横島さん。常識の斜め上に行く存在です。


 そして異世界から帰ってくると言う話を聞いて妙神山に出迎えに行ったのですが、あの人らしいと言うか何というか、何人も女の人を連れて帰ってきました。


 そのせいで空気が悪いのなんのって。


 対面も挨拶も手合わせも終えたいま、帰還記念&歓迎宴会が開催されているんですが、様々な攻防が目の前で繰り広げられていたりします。


 まず、膝の上攻防。
 パピリオさんと陳宮さんが左右に座り、独占を目指して攻防しています。
 で、座席の左右は美神さんと遠坂さんが分けあっていますが、その隙をついて小竜姫様やらミィさんがお酌をしたり料理の取り分けに入ってきたりと大攻防。
 おキヌさんはさすがに入りきれないらしく、対面席を維持することで別途の流れを作ろうと必死です。
 そう言う意味では対面にいるケイ君と共に和やかな空気を作り出そうという流れはさすがだと思います。


 そんな中、別の意味で人を集めているのは呂布さんでしょう。
 あの衝動物を思わせる風情には向こうの人々もこちらの人間もメロメロです。
 横島さんのお母さんも、「あんた、あなた、この娘、うちにつれてかえりましょう、ね、ね?」 と抱きしめながらご飯を食べさせていたりします。
 呂布さんも横島さんと同じ空気を感じてか、お母さん、百合子さんに懐いているようです。


「ご主人様のお母さん?」
「そうよ、呂布ちゃん」
「・・・恋でいい」


 真名の意味を聞いていたので、その重みと真意を感じた百合子さんは、とても嬉しそうだった。


「私のことも百合子でいいわよ?」
「・・・お母さんって呼んでいい?」


 その言葉に感動した百合子さんは、半泣きで大喜び。


「忠夫、忠夫! 恋ちゃんは妹、妹よ!!」
「おう、ねねも恋もわいの妹やな!」
「パピもでちゅ!!」
「おう、パピもな!」


 そんな空気に当てられて、鉄火場のような空気が和らぎました。
 さすが超級フラグ構築師特級。
 恐ろしい手並みです。


「いや、さすがですね、大樹さん」
「いえいえ、キリツグさんもなかなか」


 会場の端で父親コンビがグラスを傾けています。
 こっそり話を聞いてみると、どうやら女性遍歴の話らしく、現在進行形のようです。
 近くに奥さんがいる状況でよくもまぁ・・・


「・・・キリツグ、増やすのはだめだって言ったわよね?」
「・・・アイリ・・・」


 雨天のない妙神山に血の雨が降りりました。

 

 

 

 

 聞けば聞くほどに興味深い話でした。
 人の生活に役立つ白魔法を目指す私にとって、向こうの世界の魔術は相入れない存在かと思いきや、実に多くの接点を持つものでした。
 そう、根元を目指すという姿勢には、何者をも切り捨てて目指すというストイックさは、間違いなく同じ姿勢を感じましたから。
 逆に現世利益という生き方でみると、真逆にあるんですよね、魔術師って。
 世代を越えて、血脈を重ねて、ひたすらに、ただひたすらに魔法を目指すという姿勢は、その先が何かを別にして、感銘を受ける生き方に感じました。
 まるで、一族という大きな生き物が、魔法という巨大なカリキュラムに挑むかのようで。
 その大きなうねりのような力の流れを、私は少しだけうらやましく思いました。
 そう、彼らの感覚で言えば、私は一代目の魔術師。
 刻印も纏めていない研鑽中の魔術師と言ったところだろうか?


「あー、魔鈴さんでしたか?」
「はい、魔鈴めぐみです、遠坂さん」
「・・・はっきり言いますとね、空飛ぶ箒なんてものを実用化している時点で、すでに封印指定を受けますよ、魔鈴さん」
「・・・え?」

 
 え、っと、普通に飛べますよね、人間って。
 あれー? もしかして私って、そっちだと非常識ですか?


「いわゆる『越人』扱いです」


 ・・・あれー、おかしいなぁ。
 私ってば、過去に存在した白魔法の復活を目指しているだけなのに。
 そうい、いわばオカルトの考古学ですよ?


「基本、途絶えた系譜を復活させると言うだけで禁忌を越えてますし、それを魔法レベル一歩手前まで実用している時点で封印指定ですね」


 うわー、ルール厳しいんですね?


「そういう問題じゃないと思いますけど・・・・、でも忠夫が非常識な理由の一端をみた気がします」


 いやですねぇ、横島さんの非常識と私たちの常識的行動を一緒にしないでください。


「あー、やっぱり、忠夫って、こっちの世界でも非常識なの?」


 そりゃそうです。
 オカルト世界に入って、わずか一年足らずで魔神を迎え打つ超越者になるなんて、あり得ませんもの。
 そういう意味では、横島さんや美神さんは時代が準備した英雄なのかもしれませんね。


「・・・そうなると、少し話は物騒ですね」
「・・・はい」


 魔神をも殺す英雄。
 それほどの存在を、世界が許容するか、そういうこと。
 少なくとも、異世界にとばされた横島さんの話を聞いたとき、「やっぱり」と思わされた。
 そう、この「世界」での役目を終えた英雄の処理としては、他の英雄たちに比べて至極穏便な形といえる、と。
 実際、横島さんに比べて霊的な上昇期を終えている美神さんは、時間経過で自分の力の低下を感じているという。
 それは世界による減力なのか、肉体的な衰えなのかはわからない。
 でも、その流れは理解できる。

 
 そう、この世界での英雄とはそういうものなのだ。


「・・・魔鈴さん、少なくとも、うちの世界は歓迎しますよ」
「ありがとうございます」


 私自身も新発見された白魔法の成功率低下を意識していた。
 そう、今までの全ての成功が反転しているかのように感じるほどに。

 


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てなわけで、地味な動機付けでした。

つうか、魔神たおしてそのまま放置って、やっぱり難しいですよね〜
で、その意味付けをしてみました。

まぁ、この「世界」の意味付けですが。


2012/04/03 OTR移転版+小修正

 

(2,477文字)