Over The Rainbow ～にじの彼方～

第十三話

　こっちの女性は、忠夫の関係者は信じられないほど美形ばかりだった。
　ご両親もかなりなものだったし、同僚の少女も桜の黒さを無くした感じの天然だった。
　加えて人外の女性たちは、信じられないほどの美形ばかりで、恐ろしいものを感じた。
　龍神、魔女、妖怪、魔族・・・。
　だめだわ、自分の常識が揺らぐわ。

　が、一番、そう、一番驚いたのは「美神さん」だった。

　人間でありながら英霊を思わせる気配と力を感じる女性。
　加えて美形、巨乳、ってどんだけチートよ！
　さらに忠夫といい雰囲気じゃない！！

　・・・やっぱりついてきて正解ね。

「（リン、強敵よ）」
「（そうね、イリヤ）」

　表面的には氷室さんと色々とはなしていたけど・・・

「・・・みなさんのおかげでしょうか、横島さん、すごく落ち着いた感じで・・・」

「「！！」」

　これは最優先収集情報っぽいわね。

　私とイリヤは視線を一度交わした後で、そのへんを深く探り始めるのだった。

　ご主人様にお願いしたら、あの猿と戦えることになった。

　ところで、だれ？　

「斉天大聖孫悟空、わいの師匠や」
「・・・ご主人様、すごい」

　ご主人様の師匠が、あの斉天大聖だときいて、心底驚いたけど、ご主人様の師匠も驚いて居るみたい。

「こりゃ驚いた。あの悪鬼が、世界を変えるだけでこんなかわいい女の子になるとはのぉ」

　どうやらご主人様の世界では、恋、呂布も、ねね陳宮も、愛紗関羽も男だという。

　おかしな世界。

　でもいい、私はご主人様に会えたし、ご主人様も私に会えた。
　この世界、ご主人様を生んでくれた世界、恋は大好きだ。

「来い、呂布よ。三国一の武を示すがいい」
「・・・いく」

　想像以上に強く、楽しかった。
　また来ようね、ご主人様。

　横島が無事に帰ってきた事の報告の後、俺も横島と手合わせしたが、想像以上に腕を上げていやがった。
　小竜姫も感嘆の息を上げ、誰もが驚いた。
　そう、そつなくバランスよく、それでいて想像を超えた位置にいた。

「まぁ、忠夫はおもしろい奴じゃからな」

　不意に現れたのは老人。
　というか、気配で言えば猿並だった。

「・・・あんたは？」
「わしは、向こうの世界の忠夫のダチじゃな」

　・・・恐ろしいダチも居たもんだ。

「で、おぬし、おもしろ術を持っておるのぉ？」
「魔装術のことか？」

　うんうんとうなずく爺さんと話しているうちに、色々な可能性に気づいた。
　なるほど、横島め、こうやって引き出しを増やしやがったな？

「じいさん、感謝するぜ。おれもまだまだ強くなれそうだぜ！！」
「うむ、この世界はおもしろいのぉ、お主のような原石がごろごろしておる」
「なんなら遊びに来てくれよ、横島込みでよ！」
「・・・忠夫がこちらに残るという選択しもあると思うが？」
「たぶんアイツは向こうに行く」
「なぜじゃ？」
「・・・これでもあいつとは親友ってやつでな。あいつがなにを想って向こうを選ぶかぐらいは解るつもりだぜ」

　あいつは優しい。
　そして自分のせいで誰かが傷つくぐらいなら、この世界を捨てるだろう。

「なんなら、お主もくるか？」
「遊びにならいいけどな。俺にも守りたい相手が居るんだよ、こっちにな」
「ふむ、やはりおもしろいのぉ、お主等は」

　横島が連れてきたメイドとタイガーが手合わせしているが、さすがにハルバートを軽々振り回せる相手じゃ勝ち目ねえぞ、タイガー。

「ふむ、おもしろい。こちらの術を研究して、回廊でも造るかのぉ？」
「そりゃうれしいな。武者修行の先が増えるぜ」
「ふぉふぉふぉ、そりゃ頼もしいのぉ」

　さすが横島だ。
　アイツが関わると、物事が異常に大きくなりやがる。

「ところで、おぬし、あれはどうにかならんか？」
「むりだ」

　横島を中心に、女たちの鞘当てが始まった。
　向こう対こっち、まぁ勝負にならんが、いいコミュニケーションだろ？

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2012/04/03 OTR移転版