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第十一話

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GS世界の話が少し進みます。


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第十一話

 


「恋もいく」「ねねも行くのです!」


 まぁ、この二人は予想していた。


「ふふふ、向こうのご両親にご挨拶しないと」「そうだね、二度目の新婚旅行が異世界だなんて、とてもロマンチックだね」


 はい、極楽夫婦も仕方ない。
 が・・・!


「私もいく!!」 と、我が家の長女と、「わたしもいくわよ!」とこの土地のセカンドオーナー様はどうかと思ってる。


 どっちもまずいやろ? 


「「なんでよ!!」」


 まず、凛ちゃん。セカンドオーナーが管理かまけちゃまずかろ?


「桜に代行依頼してるし、一年以内なら留学だって言い切れるわ!」


 ・・・まぁ、ええ。
 でもな、イリヤ姉。生徒会長様が引き継ぎなしで出奔はまずいやろ?


「ふっ、何のために普段から一成に仕事を押しつけていると思うの? 私がいなくて困るのは、盗撮組織ぐらいなものよ!」


 ・・・それでええんか、生徒会長!!
 つうか、ぜっちに説得に応じない目しとるわ。


「兄貴、つれてけよ」
「・・・シロちゃん」
「こっちにいて、心配の余りに八つ当たりされたら、生きてられねぇから」


 ・・・いい根性になったなぁ、シロちゃん。
 まぁええわ。


「桜ちゃん、戻ってくる頃には既成事実を打ち立てるんやで?」
「お任せください、御義兄様!!」
「まて、兄貴、桜!!」
「まぁ、三日も夜に忍び込めば、砂糖柱並に脆いシロちゃんの理性が崩れるのは確実や」
「ご助言、感謝します、御義兄様!」


 ま、家のことはセラもリズも・・・


「私も参りますよ、若」「リズもいく」


 そりゃそうか、アイリ母さんもイリヤ姉さんも行くんだし、親父も俺も行く、こりゃ行かないワケないか。
 するってえと、残るのは、アルトリア、シロちゃん・・・。


 ・・・やべ、桜、焚き付けすぎたか?
 こりゃ、タイガー呼んでおかないと、マジでシロちゃんの貞操が危ういな。
 絶対に桜とアルトリアが組んで、色々と仕掛けるんだろうなぁ・・・。


 助けを求めるようにシロちゃんが親父を見たけど、親父はにこやかに「グットサイン」。そしてアイリ母さんは「殺(や)ってよし」とニコヤカにほほえむ。
 ・・・うっわー、いい笑顔だぞ、アルトリアと桜。


 本気でタイガー召還だな。


「あ、兄貴、俺も行った方がよくないか?」


 ・・・アルトリアと桜の視線が怖いので断る。


「あにきーーーーー!」


 あ、イリヤ姉さん。
 シロちゃんが心配なら残った方がええで?


「大丈夫よ、タダオ。シロウはもう、『お姉ちゃん好く好き愛してる教』の枢機卿だから」


 なんや、その邪教は。

 

 

 

 

 


 世界境界線を越えて飛ばされた横島さんが、この世界に帰ってくることがわかり喜んだ私ですが、一概に喜んでいられないことがわかりました。
 何しろ横島さんは、主観時間で十数年向こうの世界で過ごしていて、そして向こうには家族が行るのですから。
 そう説明したところ、妙神山にやってきたみなさんが驚いていました。


「「「「「か、か、家族ぅ!?」」」」」
「あの、エロガキ! け、け、結婚なんかしてやがったのぉ!?」


 いえいえ、美神さん、そうじゃなくて、世界境界線を越えた影響で年齢が巻き戻り、そしてその世界の存在として、概念的な転生をしたようなんです。
 だから、十数年といっても、高校二年ぐらいですよ?


「じゃ、じゃぁ家族っていうのは、育ての親って事ですか?」
「はい、おキヌさん。養育してくださったご両親とご兄弟がいらっしゃるそうです」
「・・・へぇ」


 色々と関心なさったようです、みなさん。


 今、横島さんが置かれている状況や、その家族構成、友人関係などを説明し、そしてそのご家族が挨拶に一緒にやってくると話したところで、美神さんの眉があがりました。


「・・・つまり、単純に帰ってくるってわけじゃないのね?」
「「「「「・・・・え!?」」」」」


 さすがですね、美神さん。
 そう、横島さんは、こちらの世界並のしがらみを抱え、十数年の中で生活を確立してしまったんです。
 いわば、横島忠夫の上書きで別人になっていたようなものです。
 望郷の数年のうちならばよかったのですが、すでに別人として生きてしまった彼の苦悩を考えてあげてください。
 残留か帰郷かを悩んでいた彼の背中を押してくださったのは向こうの養い親である義母様です。
 生み育ててくれた実のご両親やお友達がいるのだから、残るにしても帰るにしても一度直接無事をお知らせしなさい、と。


 向こうとて育てた子供が可愛くないはずはないでしょう。
 それでも、それでも、横島さんの心を思っての言葉だったと思います。


 その気持ちを汲んでください。


 それを聞いて、横島さんの義母様は泣き崩れました。


「忠夫は、忠夫は、いい人に育てられたんだねぇ」
「ああ、すばらしい人格者だな」


 しんみりとした雰囲気の中で、空気を読まない幼児が一人。


「で、何人女がついてくるんでちゅか?」
「「「「「ぶっ!」」」」」


 おもわず視線がパピリオに集中します。


「な、な、なにをいってるのよ!」
「美神もあまいでちゅ。あのタダオが、長期間放置されて、新しい女を連れてこないわけがないでちゅ。これは常識でちゅよ?」


 ほんわかした雰囲気は、まるで鉄火場のような空気になってしまいました。
 くぅ、バカパピ!! 空気読みなさい!!


「で、何人?」


 これはいわざる得ないでしょう。


「受肉した英霊2体、義理の姉1名、クラスメイト1名、本家のメイド2名です」
「・・・小竜姫さま、その受肉した英霊って?」
「詳しい話は再会したときに聞くといいでしょう」


 私はそれで話を切ったつもりだったけど、いくつもの手が私をとらえた。


「「「「「そこんところ、くわしく!」」」」」


 わーーーーん、私だって聞きたい方の立場なんですってばぁ!

 

 

 

 

 

 

 神魔ともに評判を落とした事件から一週間ほどで忠夫の行方が解ったと連絡が入った。
 何でも、異世界に飛ばされていたそうだ。


 あの事件以降、なんというか、そういう事件に関わることが多くなった息子をどう評価していいか解らない。
 妻は「生きていればそれでいい。どこででも生きられるように教育した」と言っていたが、妙神山での説明会の際には泣き崩れた。
 子を思わぬ母は無し、とはよく言ったものだ。


 ともあれ、帰ってくる息子だったが、いろいろと問題もあった。
 まず、幼児になってしまった息子を育ててくれた養父母がいること、向こうで十年以上世話になっていること、そして、向こうでそれなりに柵を作っていることだった。
 まぁ、あの息子が帰ってくることを念頭に置いて誰とも柵を作らない生活などできるはずもない。
 逆に、そんな生活をしていたというのならば殴り飛ばさなくちゃならなかった。

「百合子」
「・・・解ってるわ。男の子ですもの。いつかどこかに行っちゃうって解ってる」

 少し涙ぐみなぐ見ながら、百合子と私は、その時を待った。

 


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このへん、時間の差が大きな問題になります。
そう、魔術師とかGSとか、そういうことじゃなくて。


2012/04/03 OTR移転版 + 小修正

 

(2,874文字)