亀田ジム、永久追放も−。IBF・WBA世界スーパーフライ級王座統一戦(3日)でIBF王者亀田大毅が「負けても防衛」した一連の騒動で、JBC(日本ボクシングコミッション)は9日、東京都内で倫理委員会を開き、亀田ジム側が虚偽の事実を並べたとして、関係者から事情聴取するとの中間報告を行った。大毅が負けたら王座を失うことになっていたにもかかわらず、試合後になってジム関係者が「負けても王者のままだと確認されていた」と主張したという。JBCは「聴取の結果次第で前例のない処分を科す」としており、亀田ジムの日本ボクシング界からの永久追放に発展する可能性も出てきた。
3日の試合はソリスが体重超過で失格となったが、周囲は「それでもIBF王者大毅は負けたら王座陥落」の認識で行われた。しかし試合後、IBF立会人のタッカーさんが「IBFルールでは、相手が体重超過の場合、王者は勝っても負けても王者のまま」と言い出し大混乱に。一夜明け会見で、亀田ジムの嶋マネジャーは「前日のルールミーティングで、大毅は負けても王者のままであることが両陣営で確認された。大毅も試合当日、そう認識してリングに上がった」と発言した。
だが、これに対してJBCの浦谷信彰・本部事務局長代行は「ルールミーティングでは、王者が負けたらベイカント(空位)であることが確認された。IBFもWBAもそれに合意して、試合が行われた。JBCはルールミーティングで決められたことを尊重しただけ。落ち度はない。一連の騒動の中で明らかに不誠実な対応、虚偽の事実を並べ立て、事実を歪曲(わいきょく)しようとしている人物がいる。その人物から近く聴聞したい」と怒りの反論。嶋マネジャーから事情を聴く方針を打ち出した。
さらに「一部報道でJBCを中傷する内容のものが見られるが、いわれのないものに対し、厳重に抗議する」とキッパリ。これは、亀田家の父・史郎さんが統一戦の翌日「世界戦を管理すべきJBCにも問題がある。ルールすら把握していない。怠慢だ」とJBCをやり玉に挙げたことを指しており、これに毅然(きぜん)とした態度を示した。
浦谷事務局長代行は「あくまで中間報告」と断りながら「このようなトラブルが特定のプロモーションで起こることを、大変憂慮している。今後の聴聞次第では、前例のない処分を科す場合もある」と、亀田ジムの永久追放も示唆した。現在のところ、当事者の一方であり事実を知っているはずのIBFは沈黙を守っている。JBCの対応に、亀田家はどう出るか? (竹下陽二)
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