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「アングラの帝王」すまけいさん死去 山田洋次監督、最大級賛辞でしのぶ

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ビールを前に、たばこを吸いながら豪快に笑う、すまけいさん(88年12月撮影)

 1960年代に小劇場で活躍し「アングラの帝王」と呼ばれ、映画「キネマの天地」で86年報知映画賞助演男優賞を獲得した演技派俳優の、すまけい(本名・須磨啓)さんが7日午後5時36分、肝臓がんのため都内の病院で死去していたことを9日、所属事務所が発表した。78歳だった。この日、大阪市内で取材に応じた「キネマの―」の山田洋次監督(82)は「悲しい。すてきな日本人を演じられる最後の人でした」と惜しみ、最大級の賛辞ですまさんをしのんだ。

 船長などを演じた「男はつらいよ」には計5回出演。助監督役を好演した「キネマの天地」、93年の「学校」と山田監督の常連的な存在でもあったすまさん。この日、新作「小さいおうち」(来年1月25日公開)の舞台あいさつなどを行った山田監督は迷わず「悲しい。大好きな俳優の1人でした」と言った。

 さらに神妙な顔つきで「優しく寛容で温かく、得難いキャラクターの持ち主で作品を明るくしてくれた」と言い、「すてきな日本人を演じられる最後の人。これからの日本でこそ活躍してほしかった」。しのぶ言葉は最大級の賛辞。役の大小に関係なく、名匠が全幅の信頼を寄せていたことをうかがわせた。

すまさんの思い出を語る山田洋次監督

 独特の声質に誰もマネすることのできないとぼけた味わい。新宿の小劇場を“拠点”に「すまけいとその仲間たち」を結成した1960年代に「アングラの帝王」と呼ばれたが、72年に解散し一度は燃え尽きて引退。立ち食いそば店や不動産の営業マンなど違う仕事で生活するも、井上ひさしさん脚本のこまつ座「日本人のへそ」への出演を説得され、85年舞台復帰を果たした。

 登場するだけで強烈な存在感を残す俳優は、映像でも引っ張りだこに。しかし99年ぼうこうがん、01年脳梗塞、10年大腸がんと60歳を過ぎて次々に病魔が襲い、左半身のまひ、人工肛門を付けて仕事を続けていた。

 今年2月まで朗読「天切り松 闇がたり」で全国の舞台に立ち続けていた。関係者によると10月ごろより肝臓の肥大や食欲がなくなるなど体調の優れない状態が続いており、さらに検査したところ、肝臓がんが見つかったという。

 関係者は「11月12日から入院していましたが、亡くなる間際まで意識はしっかりしていたと聞いています。2月以降もリハビリを続けており、仕事への復帰の気持ちを持ち続けていたと思います」と悼んだ。

 ◆すま けい 本名・須磨啓。1935年9月4日、国後島生まれ。1960年代に小劇場を主に活動。一時は演劇活動を離れるも、井上ひさしさんが座付き作家だった「こまつ座」にスカウトされ、85年「日本人のへそ」で復帰。映画「男はつらいよ」シリーズなどに出演。「キネマの天地」で86年報知映画賞助演男優賞受賞。99年ぼうこうがん、01年脳梗塞に倒れたが、翌年復帰し今年2月まで舞台に立ち続けた。

[2013/12/10-06:00 スポーツ報知]


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