厚労省は、予算も大幅にアップさせ、整備推進に突き進んだ。
その結果、どうだったのか。
何人かの精神科医が書いたものを読んだ。しかし、専門用語の羅列でわかりづらい。
2年前に読んだ時は、ちんぷんかんぷんだった。
ようやく、書いている内容が掴めるようになった。
精神医療の問題点が多くあっても、一般国民に認知されないのは、このわかりづらさにある。
「精神保健・医療・福祉の根本問題2」の本では、何人かの精神科医が「反対意見」を書いている。
その中で一番わかりやすく書いてあった精神科医の岡崎氏の著作を抜粋する。
さらに絶対に目をそらしてはならないこととして、約5年間で対象者のなかから十数人の自殺者が出ているという悲しい事実がある。そうした事例があるというところまで国は認めているが、個人情報の保護を理由に、個々の詳しい経緯は明らかにされていない。・・・中略・・・
しかし敢えて経験的に言えば、5年間で千数百人の対象者のうち自殺例が十数人というのは、並の数ではない。社会的スティグマ性が高く、形式主義的で柔軟性に乏しい医療観察法で処遇されることによって、対象者が癒されるのではなく逆に追い詰められた可能性が高い、と言わざる得ないのである。対象者の社会復帰が法の目的であるという原点から言うなら、対象者の自死をもっての処遇終了というのは、敗北的な結果である。
医療観察法が対象者に深刻な心理的圧力を与えるという仮説、これを証明するにしても反証するにしても、詳しい事例検討を地道に積み重ねる以外にない。ところがこの制度の密室的性格は、関係者が集まって深く事後検討をすることも拒んでいる。失敗も含めて事例からの学びを共有することで少しずつ改良されるという臨床学の常道からも、深く隔たっているのである。
滋賀県精神障害者家族会連合会が、嘉田知事宛に出した「意見書」の中にも「自殺者が多い」ということが書かれていた。
<過去投稿から>
http://green-hill.info/2012/02/01/%e5%a3%b0%e6%98%8e%e6%96%87%e3%81%a8%e6%84%8f%e8%a6%8b%e6%9b%b8/
手厚い専門的な医療の結果がこれでは・・。