今回はその『遼寧』が、いよいよ遠洋に航海することになり、わざわざ北京から密かに激励に来たのだ。
26日朝、『遼寧』は、ミサイル駆逐艦『瀋陽』『石家荘』、ミサイル護衛艦『煙台』『濰坊』など、多くの艦艇を伴って、南シナ海へ向けて出港した。中国国防部の発表によれば、「南シナ海で通常の訓練を予定している」という。
この急転直下の中国空母の動きに、日本を始めとする東アジア諸国は、警戒態勢を取った。
その3日前の11月23日午前10時、中国国防部は、東アジア諸国・地域を震撼させる「もう一つの発表」を行った。
「本日、午前10時をもって、釣魚島(尖閣諸島)海域一帯に、防空識別圏を設定する。今後、この空域をわが国に許可なく通行することを禁じ、指示に従わない航空機に対しては防御的緊急措置を講じる」
日本政府の外交関係者が明かす。
「まさに青天の霹靂でした。
まず発表時間と、措置を取る時間が同時というのは、非常識も甚だしい。
思えば昨年9月に、日本は尖閣諸島を国有化しました。それに対する中国からの本格的な報復措置が、ついに始まったと受け止めています。
そのため政府としては、外務省トップの齋木昭隆次官が、中国大使館の程永華大使を呼びつけ、厳重抗議しました」
25日午後4時過ぎ、予定より2時間近く遅れて、程永華大使が堅い表情で外務省へ入った。
この時、齋木次官と程大使は、激しい応酬を交わしたが、途中で程大使は言葉に詰まってしまったという。前出の外交関係者が続ける。
「防空識別圏の設定に関して、中国国防部の解釈では『民間航空機も対象にする』ということでした。そこで齋木次官が、『このような非常識な設定をするのは世界広しといえども中国だけだ』と非難したのです。防空識別圏というのは通常、軍用機に対して設定するものだからです。また、尖閣諸島の上空だけ『識別圏外の領空』としていたことにも抗議しました。
すると程大使は、叱られた子供のように押し黙ってしまいました。おそらく程大使は、外務省を訪れる直前まで、防空識別圏という概念すら知らなかったものと思われます。特命全権大使という肩書ながら、何の権限も持たないメッセンジャーに過ぎないことが露呈してしまった。換言すれば、いつものように中国外交部を無視して習近平と人民解放軍が暴走したということでしょう」
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