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国会の強引さの相場

与党の強行採決というのは、国会の終盤戦においてしばしば見られますが、それにも相場があります。最終的に多数決で決めるのは国会のルールですが、多数決への持ち込み方にも作法があります。

民主党政権時にも強行採決は何度もやりました。以前の自民党政権時もしばしばやっていました。

それにしても、何となく相場観があります。今回の安倍政権の参院審議は無茶です。

みんなの党は特定秘密保護法案の採決にあたり、衆議院では慎重審議を求め、緊急上程に反対し、法案(修正案)には賛成しました。

しかし、参議院では緊急上程に反対するとともに法案(修正案)には棄権(退席)の方針です。

それは衆議院と参議院の「強引さの度合い」が、かなりの程度の差が見られるからです。

通常の法案の審議時間は3~7時間程度です。いわゆる重要法案で20~30時間程度です。とびきり重要な消費税増税や郵政改革法案で、100時間超というケースもまれにあります。100時間超えは、5年に1度くらいでしょうか。

今回の特定秘密保護法案の審議にあたっては、衆議院での審議時間は約46時間でした。参議院では審議時間がわずか22時間程です。衆院の審議時間が不十分との批判もありますが、相場観から言えば、そこそこの長さでした。批判はあっても、強引さの度合いは低いです。

また「参議院の審議時間は衆議院の8掛け」というまったく明文化されていない相場観もあります。明文化されていないものの、けっこう重要です。従って、参議院では、せめて35時間程度は、審議時間を確保するのが相場観です。いわば「国対の常識」と言ってもよいでしょう。そういう点から見ても今回の参院審議というのは、かなり異常な「前代未聞の強引さ」と言えます。修正案に賛成した野党まで批判するのは当然です。

衆議院の審議も強引であったことは事実であり、みんなの党はその点は批判してきました。

しかし、参議院の審議は、さらに強引なやり方で、これまでの前例のないほど無茶苦茶なやり方です。

みんなの党が主張してきたように国会を延長し、もっと丁寧に審議を進めればよいことです。それくらいは政府与党も度量を示すべきです。

ただでさえ批判の多いこのような法案の審議をこんなに強引で批判を招くやり方で通すのは、決して良い結果につながらないと思います。

山内康一
衆・みんな/JICAやNPO、NGO勤務の後、ロンドン大へ

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