日米間で合意間近のポスティングシステム(入札制度)に振り回されている楽天・田中将大投手(25)が、11日に出発予定だったハワイへの優勝旅行の参加を辞退することになった。8日、トレーニングのためにKスタ宮城を訪れ、球団職員を通じて立花球団社長に伝えられた。
念願の初優勝と日本一を果たし、太陽と海の楽園で羽を伸ばす−。楽しみにしていた優勝旅行だったが、メジャー移籍をめぐって過熱する周囲の喧騒(けんそう)がそれを許さない状況になった。
当初は里田まい夫人を伴って参加する予定だった。しかし、ほぼプライベートとなる優勝旅行では、週刊誌などが『ツーショット』を狙って押し寄せる可能性がある。しかも、メジャー移籍を視野に入れている田中を追って、米国内の取材陣もハワイ入りする情報も球団に寄せられていた。
田中夫妻を追う無数の目を気にすると、ホテルの部屋から出ることも難しい。外出すれば、ほかの選手や家族にも混乱が及ぶ。球団広報は「本人も行きたがっていましたが、周りに迷惑をかけたくないという思いがあったそうで、苦渋の決断です」と代弁した。
11日からの宙に浮いた7日間は基本的に仙台で過ごし、トレーニングもする。一方、米国のウインターミーティングに出席する立花球団社長は10日に渡米し、14日前後に帰国する予定。当面、球団側の動きはストップすることになった。
田中はこの日、「何もないですよ。(立花社長とは)会ってません。トレーニングをしに来ただけなので。残念ながら、みなさんのご期待には応えることができないということで…」と報道陣を見渡した。残留交渉を含めた球団側との話し合いは、新制度の合意と16日の12球団実行委員会を受け、17日以降になる見通しだ。 (井上学)
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