サイテー警官だ!! 放置自転車を泥棒させるように仕向けた警察官が、書類送検された。自転車泥棒が盗みやすいように、パンクまで直して放置する“おとり自転車”。検挙のノルマ(努力目標)達成のために警察官がここまでやるとは、開いた口がふさがらない。警察OBは「そんな警察官は辞めちまえ!!」とぶった斬った。
放置自転車を持ち去ったとして、占有離脱物横領の疑いで警視庁から11月22日に書類送検されたのは、田園調布署の地域課に所属する男性巡査部長(51)ら4人の署員だ。
4月末、東京・大田区の路上に放置されていた自転車1台を持ち去った疑い。警視庁によると、自転車持ち去り事件の摘発実績を上げるため、放置されていた自転車計3台を別の場所に置き、9回にわたっておとりに使い、張り込んでいた。
4人は自転車のパンクをわざわざ修理し、鍵を壊したりして、持ち去られやすくした。巡査部長は「職務質問による摘発が低調だったので、捕まえたかった」と供述。22日に停職1か月の懲戒処分となり、辞職。巡査部長の指示に従った他の3人らが所属長訓戒処分となった。
元神奈川県警刑事で窃盗に詳しい小川泰平氏は「警察には努力目標という数字があるが、達成できない者は5%程度。一般企業のノルマの方がよほど大変」と嘆く。
盗まれる自転車のほとんどが放置された物。アパートの駐輪場に止められた、明らかに所有者の分かる自転車が盗まれることは少ないという。
「駅やパチンコ屋に自転車がズラッと置いてある。そのうち何台かはずっと放置されたもの。そういうのが持って行かれやすい」(小川氏)
小川氏の同僚には自転車泥棒を捕まえる天才がいたという。怪しいヤツの見分け方は、警察官の姿を見て逃げる者。ただし「すぐ逃げずに、徐々にスピードを上げて逃げるヤツ」が“クロ”だという。「サドルと足の位置が一致していない者」も怪しい。女性が乗るサドルの低い自転車を盗んだ男が乗る様子を想像すれば分かりやすい。その天才は「一本釣りしてきます」と言って職質のため署を出ると、30分後には「捕まえてきました~」と帰ってくる日々だったという。
だが、職質をして検挙するというのは一般的なこと。その場合、検挙の場所は毎回異なる。また、盗んでから検挙されるのは後日のことになる。「盗んだ2分後に検挙なんてことが続いたら、それは警察側が怪しい」(小川氏)
一部報道によると、このおとり自転車では、9回の張り込みのうち、1台は警察官が目を離した隙に何者かに持ち去られたという。
小川氏は「罠を仕掛けて捕まえられないなんて本当にトロい。警察官を辞めたほうがいい。それに、部下もちゃんとした捕まえ方を教えてもらえないのがかわいそう」と再びため息を吐く。先の天才も最初から実績があったわけではなく、研究を積んで一流になったという。
犯罪事情に詳しい関係者は「こういった要領のいい方法を編み出す警察官はどこの署にも1~2人はいると考えてよい。彼らは罠を仕掛けることに『こずるい』という自覚はある。だが『持って行く泥棒の方が悪い』とも思っている」と話す。ただし、これで数字上は検挙率を上げたとしても、体感治安は一切良くはならない。
「盗んだ自転車で引ったくりをするなど、自転車泥棒はすべての犯罪の入り口と呼ばれている。また、自転車泥棒を成功させることで、その人のモラルが低下し他の犯罪にも手を出すようになる。自転車泥棒を防ぎ、検挙することが治安維持に果たす役割は大きい」(同)
人を盗みに走らせるよう仕向けることは、警察の仕事ではない。「点数を稼ぐ要領の良い警察官が増えた」という小川氏の指摘を、現役警官たちは聞くべきだろう。
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