2020年にオリンピックとパラリンピックが東京で開催されることにちなんで、だるまの生産が日本一として知られる群馬県高崎市の工房で、オリンピックの5色のだるまの生産が進んでいます。
高崎市は、日本一のだるまの産地として知られ、市内にある工房では、15年ほど前から一般的な赤いだるまのほかさまざまな色のだるまを生産しています。
2020年のオリンピックとパラリンピックが東京で開催されることが決まったのにちなんで、5色のだるまをセットにして販売を始めました。
工房では、12日朝も6人の職人がだるまの制作に取りかかり、細い筆を使ってひげを描いたり出来ただるまを箱詰めしたりする作業に追われていました。
工房の中田純一社長は「偶然にもオリンピックのマークと同じ色のだるまということで、作る手にも力が入ります。このだるまを受け取った人が少しでもオリンピックを身近に感じてもらえるとうれしいです」と話しています。
全国一のかつお節の産地、鹿児島県枕崎市で12日、年に1度の入札会が行われました。
枕崎市は、かつお節の生産量が例年、1万3000トンと全国で最も多く、お歳暮や鍋料理のだしなどでかつお節の需要が高まる冬を前に毎年、この時期に入札会が行われています。
枕崎市の入札場には、東京や大阪などから駆けつけた90人余りの仲買人が集まり、まず、枕崎水産加工業協同組合の西村協組合長が「生産者が誠心誠意を込めて作ったかつお節を何とぞ元気よく、高値で入札いただきたい」とあいさつしました。
このあと、鐘の音を合図に入札が始まると、仲買人たちが札に値段を書き込んで競り落としていました。
枕崎水産加工業協同組合によりますと、ことしはかつおの価格が上がったことから、生産者が生産を手控え、12日の入札会で出品されたかつお節は例年よりおよそ20%少ない180トンとなりましたが、かつお節の1キロあたりの平均価格は例年より100円高い2056円となりました。
56年ぶりの開催が決まった東京でのオリンピックとパラリンピック。
7年後の開催に向けて東京の街はどう変わっていくのでしょうか。「日本文化の発信」について見てみます。
.スポーツと文化の融合を
オリンピック・パラリンピックと言えば、もちろん「スポーツの祭典」ですが、「文化の祭典」とも言われています。
オリンピック憲章にも「スポーツを文化と教育と融合させる」ということばが盛り込まれています。文化の発信はオリンピックの大切な目的の1つとなっているんです。去年開かれたロンドンオリンピック・パラリンピックでもイギリス全土で文化イベントが開かれました。
音楽、演劇、ダンス、美術、映画、ファッションなどイベントがおよそ1万3000件開かれ、2万5000人を超えるアーティストが参加しました。
この取り組みについて文化芸術政策に詳しいニッセイ基礎研究所の吉本光宏主席研究員は「アスリートと同じ204か国から来ているというところがポイント。スケールの大きさ、幅広さ、そのあたりが今までのオリンピックの中で群を抜いていたと思います。オリンピックはスポーツの祭典だけれども、同時に文化の祭典だと文化関係者をはじめ国民にも知ってほしい」と話しています。
前回は歌舞伎の公演も
こうした取り組み。
実は前回の東京オリンピックの際にも行われてきました。
前回のオリンピックでは外国人向けに夜の歌舞伎公演が行われ、日本の伝統文化に接してもらいました。
ことしは歌舞伎座も新しく建て替えられました。
競技会場や選手村にも近く今度の東京での開催時にも多くの外国人に歌舞伎の魅力を知ってもらう機会になると期待されています。
歌舞伎座の船越直人支配人は「日本独特の芸能でありますし、ほかに例を見ない演劇のスタイル。歌舞伎の本当の楽しさ、パワーみなぎるものを直接感じてもらう場にしたい」と話しています。
東京には多様な文化が存在
伝統文化だけでなく、「クールジャパン」と言われる新しい日本文化を発信する機会にもなると期待されています。
渋谷や原宿から発信される独特のコーディネートは「カワイイ」ファッションとして海外でも知られています。
オリンピックは日本の新しいファッションを海外に発信しブラッシュアップしていくチャンスになると期待が高まっています。
11日から都内で始まったファッションなどのイベントでプロデューサーを務める松井智則さんは「カルチャー、文化、新しいトレンドが生まれる街は世界でも限られる。東京の渋谷・原宿は、トップの1つ。見ていない人には、ここでしか見られないものを見てほしい。見てもらうチャンス」と話していました。
さらにヘルシーな日本食も海外の人に知ってもらいたい日本文化の1つです。
食文化に詳しい服部幸應さんは「日本の食を楽しんでいただくと日本のイメージがもっともっとよくなると思う。われわれも、おもてなしの心を出していけば、日本はいい国だということが心に残ってくれることがいちばん大事。そのためにも、おいしいものを用意させましょう」と意気込んでいます。文化の発信、さまざまな分野で期待が高まっています。
今後、一線で活躍する芸術家やクリエイターも参加して具体的な検討が始まります。
東京の魅力は伝統文化から新しいトレンドまで幅広いものが混然一体と存在しているところにあります。
その魅力を海外に発信するとともに私たち一人一人も改めて知る機会になると思います。
オリンピックとパラリンピックが日本をよく知ってもらう場として十分活用されることを期待したいと思います。
世界遺産への登録を目指している群馬県の「富岡製糸場」についてユネスコの諮問機関の現地調査が今月25日から2日間行われることになりました。
群馬県にある日本で初めての官営の製糸工場、「富岡製糸場と絹産業遺産群」は製糸技術の革新を進め世界の絹産業の発展に重要な役割を果たしたとして国が来年の世界文化遺産への登録を目指して推薦しています。
ユネスコの諮問機関、イコモスによる現地調査について文化庁が11日日程を公表し今月25日から2日間、イコモスの調査員で中国国立シルク博物館の趙豊館長によって行われることが分かりました。
イコモスの調査はユネスコの審査に大きな影響力を持ち、富岡製糸場を訪れて保全状況などを調べたうえで世界遺産にふさわしいかどうか評価を示す「勧告」を行うことになっています。
この勧告を踏まえて来年夏ごろ中東のカタールで開かれるユネスコの世界遺産委員会で登録されるかどうか決まる予定です。
佐賀県沖の有明海では、来月から始まるのりの養殖に向けた準備が本格化しています。
佐賀県沖の有明海では、海水の温度が下がる毎年10月中旬ごろから、のりの養殖が始まります。
沖合では養殖に向けた準備が本格化し、12日朝も早くから多くの漁業者が網を張るための「支柱」を海の中に立てていました。
有明海につながる諌早湾では、海側と干拓地側とを隔てる水門が閉じられたあと、のりの生育不足などの影響が出ているとして、漁業者が干拓事業と漁業被害との関連を調べるよう国に求めていて、ことし12月には限定的に水門を開いて調査が行われます。
しかし、調査が始まる時期はのり養殖の最盛期と重なるため、開門直後には大量の淡水が流れ込み、のりの養殖に影響するのではないかと心配する声も出ています。
佐賀県鹿島市の漁業者の1人、野田勝さんは「複雑な気持ちです。開門への期待は強くありますが、ことしののりへの不安が拭えません」と話していました。
東京のかつてのターミナル駅で、70年前に営業を終了した旧万世橋駅が14日、商業施設としてオープンします。
これを前に12日、内部が公開されました。
およそ100年前に開業した東京・千代田区の旧万世橋駅は、昭和18年に営業を終えましたが、アーチ型の堅ろうなレンガ造りの高架橋にはレールが敷かれ、JR中央線が走るなど、70年たった今もそのまま使われています。
JR東日本は、この高架橋を活用しようと再開発を進め、14日、商業施設としてオープンさせることになり、12日、内部を公開しました。
高架下には、飲食店などが入りますが、開業当時の姿が生かされ、明治から昭和にかけての日本の歴史が体感できるよう工夫されています。
ホームに上がる階段は開業時のままで、床に花こう岩を削り出したものが使われているほか、壁に使われているタイルは当時の最高の技法で張られているということです。
また、昭和10年に新たに造られたホームに続く階段も保存されています。
JR東日本ステーションリテイリングの三井剛社長は「訪れた人に旧万世橋駅を巡る歴史や文化を再発見してもらい、多くの人でにぎわう街になってほしいと思います」と話していました。
.駅に残る歴史
旧万世橋駅は、およそ100年前の明治45年に開業しました。
東京駅が開業する2年前で、中央線の始発駅としてにぎわいを見せ、当時駅周辺は銀座と並ぶ繁華街でした。
ホームは高架橋の上に造られ、高架橋を背にするように2階建てのレンガ造りの駅舎が建てられました。
駅舎の設計は、去年秋に復元された東京駅の丸の内駅舎と同じ建築家の辰野金吾が担当し、東京駅の駅舎の原形になったともいわれています。
目の前には神田川が流れ、駅舎の中にあった食堂には、作家の芥川龍之介や菊池寛も訪れたといいます。
しかし東京駅が開業すると、旧万世橋駅は終着駅から途中駅になり、さらに大正12年の関東大震災で駅舎が焼失しました。
2年後、駅舎が再建されますが、近くに秋葉原駅や御茶ノ水駅が新たに開業し、利用者は減っていきました。
そして、ちょうど70年前の昭和18年に営業を終えました。
そのあとも残された高架橋は、アーチ型のレンガ造りで、同じ時期に建設された東京・新橋間の高架橋と、外観や構造が似ています。
ドイツ人技術者が指導に当たったため、アーチとアーチの間の壁面には、ドイツの首都、ベルリンの高架橋にもある「メダリオン」と呼ばれる丸い石の装飾が施されています。
ホームにつながる階段は、今回、駅が営業を終えてから初めて、70年ぶりに広く一般に公開されると言うことです。
ホームは、駅舎が焼失したり営業が終了したりしたあとも、開業時のものがそのまま残されていて、今回、展望デッキや喫茶店として活用されています。
このため、展望デッキや喫茶店のすぐ脇を中央線などの列車が走り抜けます。
また、歴代の駅舎を支えた基礎の一部も保存されました。
お年寄りなどが利用している電動車いすの事故が全国で相次いでいるとして、製品事故の分析を行っている独立行政法人が注意を呼びかけています。
電動車いすは運転免許がいらず、手軽に利用できるため、お年寄りや体の不自由な人の利用が広がっています。
この電動車いすについて、製品評価技術基盤機構=NITEが調査したところ、ことし3月までの5年間に91件の事故が報告され、33人が死亡していたと言うことです。
事故のおよそ3割は、誤った使い方や不注意が原因で、最も多かったのは、路肩の側溝などに転落する事故でした。
また、坂道を下るときにクラッチを切った状態にしていたため、スピードが出すぎて衝突したり、転倒したりする事故も起きているということです。
このためNITEは、電動車いすの走行中は道路の端に寄りすぎないことや、坂を下るときにクラッチを切った状態にしないよう呼びかけています。
NITEの葛谷弘之課長は「敬老の日を迎え、電動車いすを贈られるお年寄りがいるかもしれないが、使い始めて1年以内の人の事故が多いため、地域の安全講習会に参加するなど十分注意して運転してほしい」と話しています。
東日本大震災で命を落とした犬や猫などのペットを描いた絵の展示会が東京・千代田区で開かれています。
この展示会は、震災によって多くの動物たちの命も失われたことを知ってもらおうと開かれました。
会場には、絵本作家や画家たちが被災者から手紙で寄せられたペットの思い出などを元に描いた作品100点余りが展示されています。
このうち、宮城県石巻市で飼われていた犬のコロ助は、地震の直後避難所の外につながれていて、飼い主から見えるところで津波に襲われたということです。
また、岩手県釜石市のウサギのちゃこちゃんは、飼い主が自宅の高い場所に避難させていましたが、津波で家ごと流されてしまったということです。
このほか、ピアニストのフジコ・ヘミングさんが動物たちへの哀悼の気持ちを表すため、描いた花束を胸に抱えた女性の絵も展示されています。
訪れた都内の女性は「私も犬を飼っているので、ひと事とは思えません。痛ましく悲しいことだと感じました」と話していました。
主催した絵本作家のうささんは「家族の一員だった多くの動物の命が失われたことを知ってもらいたいです」と話していました。
この展示会は東京・千代田区の一口坂ギャラリィで今月17日まで開かれています。