【東京】金融市場の衝撃に備えた経済の守りを固めるため、日本が東南アジア諸国との為替スワップ協定を強化する。世界的にも高成長が注目されるこの地域で、影響力をめぐる中国とのせめぎ合いも背景にある。
日本の外貨準備高は1兆2750億円と、中国に次ぐ世界2位。日本はこれだけの外貨準備を活用し、1990年代後半にアジアを襲ったような通貨危機に対する地域全体の抵抗力引き上げに寄与してきた。
最近では米国の金融政策が転換期を迎える見通しが強まり、インドネシアなど一部の域内諸国は不安定な市況にさらされている。こうした状況を踏まえ、日本政府は貢献度を一段と高める考えだ。
日本政府のある高官はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、13〜15日に開催される日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の特別首脳会議で、インドネシアおよびフィリピンとの通貨スワップ協定をほぼ倍に増強する計画を発表すると明かした。従来の通貨スワップ枠はインドネシアが120億ドル、フィリピンが60億ドルだ。
この高官はまた、タイ、シンガポール、マレーシアと通貨スワップ協定の復活を計画しているが、規模をめぐり協議がまだ続いていると話した。これら5カ国との通貨スワップ協定はいずれも二国間の枠組みで、中国や韓国を含む多国間ネットワーク「チェンマイ・イニシアチブ」とは切り離す。
複数の高官によると、他のアジア諸国からの要請があれば、日本政府はこうした二国間通貨スワップ協定をさらに拡大する用意がある。
タイ、シンガポール、マレーシアとの通貨スワップ協定の規模を決定する上では、チェンマイ・イニシアチブ導入後に失効した過去の協定を参考にすると、複数の高官が説明した。日本は以前、タイが最大60億ドル、マレーシアが最大10億ドル、シンガポールが最大30億ドルを引き出せる通貨スワップ協定を結んでいた。
ただタイについては、政情不安が原因で最終的な合意までに時間がかかる可能性があるとされる。
今回の日本政府の動きは東南アジア諸国と何カ月も話し合いを重ねた結果で、中国が新たに設定した防空識別圏(ADIZ)への直接的な反応ではない。しかし複数の高官は、日本が米国とともに東南アジア諸国との関係強化に動く背後には、中国が主張を強めていることがあると指摘した。日本企業が「チャイナ・プラス・ワン」戦略として、中国が抱えるリスクを避け、中国以外に製造拠点を広げていることも政策に影響しているという。
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