レーシック手術に注意呼びかけ 消費者庁12月4日 17時42分
目の視力を向上させるレーシックの手術で、光がにじむようになるなどの被害が相次いでいるとして、消費者庁が注意を呼びかけています。
視力を向上させるレーシックの手術で目に何らかの被害を受けたという報告が、消費者庁には先月までの4年半ほどの間に、全国から80件寄せられています。
被害の内容で最も多かったのは、視力が矯正されすぎて遠視になったというもので、このほか、目に激しい痛みを感じたケースや、1時間に数回、目薬をさすようになったケースなどもあったということです。
こうしたことを受けて、消費者庁が先月、手術を受けた600人を対象に行ったアンケート調査でも、4割余りの人が、手術後に光がにじんだとか暗いところで物が見えにくくなったなどの不具合を訴えたということです。
こうした背景には、手術後に起きうる後遺症について、医療機関があらかじめ十分な説明を行っていないことがあるとみて、消費者庁は、レーシックの手術を受ける際にはしっかりとした説明を受けるよう呼びかけています。
また、この問題について、医療被害を扱う弁護士のグループが今月21日の午前9時15分から午後5時まで、専門の電話相談を行うことにしています。
番号は03-6869-8391です。
痛みなどに苦しむ
東京都内に住む40代の女性は3年前にレーシックの手術を受けましたが、直後から目に激しい痛みを感じ症状は今も続いています。
手術の合併症として知られる、涙の分泌が少ない「ドライアイ」が原因の1つと考えられていて、痛みを和らげるため多くの目薬を使っています。
また、別の合併症として光がにじんで見える「ハロー・グレア」という症状も出ているということで、夜の車の運転ができなくなりました。
女性は、「目の中にシャンプーが入ったような痛みが、ひどい時は一日中続いている。レーシックによって、そうした痛みや、めまい、吐き気、頭痛といった症状が出るということは全く知らなかった」と話しています。
一方、神奈川県の30代の男性は見えすぎることが問題になっています。
6年前に受けた手術のあと目の周りに強い痛みを感じるようになり、角膜を削りすぎた「過矯正」と診断されました。
矯正後の視力は1.5の「遠視」の状態で、遠くはよく見えますが、近くを見るときは目に負担がかかるため痛みにつながっていると考えられています。
特殊な眼鏡の使い分けで、目の負担を抑えている男性は、「クリニックから、周りはみんな1.5の視力にしていると言われ、過矯正については特に説明はなかった。顔や肩、首なども非常に痛くなって凝り固まった状態だ」と話しています。
慎重に考えてほしい
日本眼科学会は、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正でそれほど不便を感じていない場合には、レーシックの手術をするかどうか慎重に考えてほしいと呼びかけています。
日本眼科学会常務理事の大鹿哲郎筑波大学教授は、「手術による合併症はゼロではなく、削った角膜は元には戻らない。レーシックの手術には、メリットもあるがデメリットもあるということを、きちんと理解してほしい」と話しています。
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