秘密保護法:難しい内容監視 自民は国会内組織も検討

毎日新聞 2013年12月08日 00時14分(最終更新 12月08日 09時35分)

 政府・与党は7日、国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の成立を受け、恣意(しい)的な秘密指定がないかをチェックする監視部門の整備に着手した。政府は国会審議を通じ、個々の秘密を検証・監察する「情報保全監察室」(仮称)、事務次官級の「保全監視委員会」(同)を設置する方針を表明。しかし、ともに政府内の組織にとどまり、官僚による情報隠蔽(いんぺい)を防ぐ独立性は乏しい。自民党は議員立法で、特定秘密の内容を監視する組織を国会に設置する方向で検討している。【影山哲也、高橋恵子】

 自民、公明両党と日本維新の会、みんなの党の4党は特定秘密保護法の修正協議で、同法付則9条に「独立した公正な立場で検証、監察する新機関」の検討を加えた。菅義偉官房長官は5日の参院国家安全保障特別委員会で、内閣府に20人規模の情報保全監察室を新設すると表明。しかし、内閣府設置法の範囲で設置される監察室には独立性がなく、「官僚による身内のチェックに過ぎない」との懸念が浮上している。

 4党の実務者協議にあたった自民党の中谷元・元防衛庁長官は7日のTBS番組で、情報保全監察室と国会でのチェック機関について「官僚の情報独占は放っておけない。しっかりやらなければならない」と強調。今後1年以内の秘密保護法の施行までに監察室を設置する考えを強調した。参院特別委の理事を務めた民主党の福山哲郎元官房副長官も「知る権利や取材の自由がどれだけ守られるのか、きちっと監視しなければいけない」と述べた。

 一方、自民党の石破茂幹事長は6日夜の法成立後、国会が政府から特定秘密の提供を受けるルール整備について「早急に議論し、法案にすることが急務だ。党政調に作業を指示した」と記者団に表明。特定秘密の指定状況など運用状況を監視するため、議員立法で国会法の改正などを目指す考えを示した。

 特定秘密保護法では国会が求め、行政機関の長が支障がないと判断した場合、「特定秘密を提供する」と規定している。審議内容を公開しない「秘密会」を義務付け、秘密を漏らした国会議員には最高懲役5年を科す。しかし、国会の監視機関や情報漏えいの防止策は未整備で、同法は付則で国会に対して情報保全措置を講じるよう求めている。4党実務者合意は監視機関について「法施行までに結論を得る」と明記した。

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