秘密保護法:怒り、疑問「反対続ける」…街の声届かず

毎日新聞 2013年12月07日 11時47分(最終更新 12月07日 12時32分)

特定秘密保護法の成立から一夜明け、議員会館前で廃止の声を上げる人たち=東京都千代田区で2013年12月7日午前9時55分、手塚耕一郎撮影
特定秘密保護法の成立から一夜明け、議員会館前で廃止の声を上げる人たち=東京都千代田区で2013年12月7日午前9時55分、手塚耕一郎撮影

 国家機密を漏らした公務員らに厳罰を科す特定秘密保護法は、与党の「数の力」で6日深夜に成立した。「暴挙だ」「もっと時間をかけて審議すべきだ」。一夜明けた7日、列島各地から厳しい批判の声が相次いだ。【まとめ・澤圭一郎】

 前夜、怒りの声を上げる人々で歩道が埋め尽くされた東京・永田町の国会議事堂周辺には、7日朝も市民ら約20人が集まった。法案成立を受け、横断幕の「廃案」の文字を「廃止」に修正。「自由のない国にするな」と拳を突き上げた。

 栃木県那須烏山市志鳥の団体職員、柴野智明さん(59)は深夜のテレビで法案成立を知り「最後まで廃案を願い続けていたが、残念だ」とため息をついた。強行採決を繰り返した与党に「ファシズムを思わせる暴挙」と怒りをあらわにした。

 石川県津幡町の石川高専専攻科1年、大黒眞唯子さん(21)も強行採決の様子をテレビで見た。「子供の頃から『少数派の意見を大切にしよう』と教えられてきたのに、国会では反対する人の声を反映せずに採決してしまい疑問に思った」

 東京都小平市の市民団体代表、水口和恵さん(51)は「議論を尽くせば、もっと論点が出てきたはず。時間をかけて審議してほしかった」と残念そう。何がどこまで秘密にされるのかが分からず「納得できていないままだ」と話した。

 札幌市中央区の無職、杉本裕美さん(30)は「日本が戦争に向かっているのではないかという不安が消えない。国民の声を無視した強行採決ばかりで、声を上げても国に届かない」と、むなしさを感じたという。

 法律の内容に対する批判も根強い。東京都目黒区在住の会社員で、核兵器廃絶を目指し長崎市の市民団体が毎年国連に派遣する「高校生平和大使」を務めた経験を持つ草野史興さん(28)は、政府に対し「何が秘密か、きちんと定義付けることが第一だ。軸をきちんと定めて運用してほしい」と注文をつけた。名古屋市天白区のシャンソン歌手、荻野克典さん(71)は「行政が都合の悪い情報を秘密にすることが可能で、民主主義や日本国憲法の根幹である三権分立を崩す。市民の間で盛り上がった反対の声をこれからも持続し、法律の運用を厳しく監視していかなければいけない」と訴えた。

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