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【新・悪韓論】韓国で匠が育たない理由は「神の職場」を羨む国民性にあり

11.28
 韓国の新聞を読んでいると、1年に何回か「神の職場」という表現に出合う。

 「神の職場」と聞いて、日本人はどんなイメージを抱くだろうか。周囲に尋ねてみると、神社や教会のことと思う人もいる。「営業の鬼」とか「会社法の神様」と言われる重役の執務室、あるいは「溶接の神様」などとあがめられる匠が腕を振るう作業場を挙げた人もいた。

 私は、待遇は恵まれていないのに、世のため他人(ひと)のために黙々と仕事をする人々が集まっているような場所を想定してしまう。

 宗教観、職業観、あるいは人生観によって、さまざまなイメージが抱かれるのは当然と思うが、韓国で「神の職場」と言ったら、ほとんど一種類の職場環境しかないようだ。少なくとも、韓国の3大新聞は「神の職場」という名詞を、同じ意味で使っている。

 「韓国電力は年俸が1億ウォン(約957万円)を超す社員が1000人近くおり、依然として《神の職場》といわれるほど給与が高い」(朝鮮日報2011年12月8日)

 これは、頻繁に停電事故を起こす韓国電力の怠慢さを叱った記事だ。

 「国連の職員は世界中の公職者年俸の中で最も高い水準の給与である上、ほとんど定年まで働けるだけでなく、福利厚生も良い。このため一部では国連を《国境のない神の職場》と呼んでいる。…先進国はずさんで不透明な国連(の人事、予算)に対して絶えず改革を要求してきた」(東亜日報13年6月11日)

 「金融監督院は本当にうらやましい《神の職場》だ。…金監院は高年俸と金融機関の生死与奪権を握った独占的な権力、そして天下り人事を通した老後の保障まで、3拍子がそろった機関だ。さらにどんな事故を起こしても退職金まで丸ごともらえるというのだから」(中央日報11年5月31日「社説」)

 「大卒初任給の上位10公企業には金融・教育・エネルギーなどの業種も含まれたが、平均年俸は1位から6位まで金融系公企業が占めた…このため公共機関は大学生の間で《神の職場》を超えて《神も入りにくい職場》と言われている。青年失業者が増えている中、定年が保障され、月給も多く、福祉まで充実」(中央日報11年8月3日)

 つまり、職場挙げて怠慢であり、不正がまかり通り…それでも高給与・厚待遇が得られる職場こそ「神の職場」であり、そこに難関を突破して入れた人間を「神」だと言っているのだ。

 この国に匠が育つはずはない。日韓合弁企業が、うまくいくはずはない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「日韓がタブーにする半島の歴史」(新潮新書)、「悪韓論」(同)などがある。
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