【動画】6日夜、特定秘密保護法案の廃案を求めて抗議する市民の声が列島各地を包んだ=井手尾雅彦、関口聡、細川卓、林敏行撮影

 日に日に高まる反対の世論や野党の抵抗を蹴散らすように、政府与党は採決に突き進んだ。特定秘密保護法は6日夜、参院本会議で成立した。「それでも、欠陥だらけの法律を許すわけにはいかない」。戦争を知る世代、若者、子を連れた母親……。反対を訴える市民の声は、深夜までやむことはなかった。

 採決に先立ち、国会近くの日比谷野外音楽堂で午後6時半から始まった抗議集会には約1万5千人(主催者発表)が参加し、「審議が拙速で乱暴」などの批判が続いた。階段や通路まで人で埋め尽くされ、入れなかった人たちも外で「強行採決を許さない」と声を上げた。

 主催者側の海渡雄一弁護士が「法案が成立しても、廃止する活動を始めよう」と呼びかけると、大きな拍手が起きた。福島原発事故の刑事責任追及を求める「福島原発告訴団」の武藤類子団長は「(原発事故では)情報を隠されたことでたくさんの人が被曝(ひばく)した。情報が隠されると、命と安全を守ることはできない」と訴えた。

 生後7カ月の娘を連れて福岡県筑紫野市から駆けつけた会社員、宮下彩さん(34)は「そそのかしが罰せられるなら、友達づきあいも気にしなければならない。秘密だらけの世の中にしかねない法律は未来に残したくない」と話した。