秘密保護法の成立
2013年12月7日
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任務放棄の国会は不要
特定秘密保護法の成立は、国民の「知る権利」を脅かすことにとどまらない。国会の任務放棄をも意味する。権威は失墜した。このような法を通す国会は信頼できないし、存在の必要も感じない。総辞職し、あらためて国民の審判を仰ぐべきだろう。そこまで指摘されてもおかしくない重大事であることを議員も国民も認識してほしい。
中学校や高校の社会科レベルに立ち返り、説明しておく。
国会の役割は憲法第41条に規定されている。「国権の最高機関」であり「唯一の立法機関」だ。立法府と呼ばれる。担い手たる各議員は、特定の地域や団体に拘束されない「全国民の代表」である。
つまり、国民の生活や自由や安全を守るため、社会の規範である法をつくるのが仕事だ。例えば犯罪をめぐり、何が「してはいけない事」であり、それを逸脱した場合に「どのような処罰を受けるか」といった内容を決める。日本において法制定の権限を有するのは国会だけだ。
ところが、特定秘密保護法では「これを漏らせば犯罪」という「特定秘密」を行政府(内閣)が決める。その漏えいを理由として国民へ刑罰が科せられてしまう。
しかも国民には何が「特定秘密」であるのかが分からない。メールなどでの日常の情報のやりとりが刑事処分の対象となりかねない。
国会は本来、法の制定を通し、内閣をチェックする立場だ。しかし、秘密法では法体系上の裁量を事実上、行政府(内閣)へ丸投げしている。その暴走を助長しかねない。衆院だけでなく参院までもが、立法府としての役割を放棄したも同然だ。
「特定秘密」指定のチェックをめぐり、与党が示した「内閣府への第三者機関設置」などの対案も法に明記してこそ意味があろう。現状では実効性の担保がない。自民、公明両党はもとより法案修正に合意したみんなの党、日本維新の会は国民に対し、どう責任を取るつもりか。
国会議員に憲法上の身分保障を定めたのは「全国民の代表」として役割を果たしてもらうためだ。だが、国民は裏切られてしまった。
これからは政府にとって都合の悪い事実は「特定秘密」に指定して抹殺できる。いさめるべき国会が後押しをしたのだ。2013年の臨時国会は憲政史上に汚点を残した国会として記憶されるだろう。
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