日本ファンタジーノベル大賞



第二十四回日本ファンタジーノベル大賞


第24回「日本ファンタジーノベル大賞」の選考会は、荒俣宏、小谷真理、椎名誠、鈴木光司、萩尾望都の五委員により、平成24年7月31日、東京・中央区の読売新聞東京本社において開かれました。その結果、全応募作713篇から選ばれた下記最終候補作4篇のうち、下の2作品が優秀賞に決まりました。両作品は11月に小社より刊行される予定です。



受賞作品


大賞

該当作なし



優秀賞

「朝の容花」 三國青葉
(「かおばな憑依帖」に改題)


受賞者略歴


三國青葉(みくに・あおば)
1962年兵庫県神戸市生まれ。
1987年お茶の水女子大学大学院理学研究科修士課程修了。
1990年自宅で学習塾を開業。
徳島県三好郡在住。



受賞のことば


小説を書き始めたのが11年前。自分の作風が変わっているらしいと気付いてからは、投稿先に苦慮する日々が続いていました。こちらの賞にはずっと憧れていましたが、それだからこそなのでしょう、応募する勇気がどうしても出ませんでした。ようやく意を決して投稿したところ、思いがけなく賞をいただいてしまい、大変驚いています。書き続けていて本当によかったです。どうもありがとうございました。読者の方に笑って楽しんでいただける作品を書けるように、受賞を支えに精進していきたいと思います。最後になりましたが、書くきっかけを与えてくださった方、励まし続けてくださった方……たくさんの方々に、心より感謝申し上げます。



優秀賞

「ワーカー」 関俊介
(「絶対服従者(ワーカー)」に改題)


受賞者略歴


関俊介(せき・しゅんすけ)
1976年大阪府豊中市生まれ。
1995年大阪府立芥川高等学校卒業。
1997年「歪む教室」で角川学園小説大賞金賞を受賞しデビュー。
1998年「RAIN-BELL」刊行。
兵庫県三田市在住。



受賞のことば


まさか私などが賞をいただけるなんて。とは言いません。七百名を越えるすべての応募者同様、私も本気で獲りにいきました。結果は優秀賞。おまえはまだそこに到達していないとつきつけられてしまったわけで、改めて壁の高さと分厚さを痛感しています。とはいえ出版化の道はひらけました。私の書くものは通用するのか。小説が好きでたまらない方に受け入れられるのか。小説が好きな方の時間を盗み取り、現実を忘れさせ、没入してもらえるものなのか。全力で世に問いたいとたぎっております。この機会をくださった選考委員の皆様および選考に携わったすべての方へ心から感謝を。おまえを推してよかったと言っていただけるよう歯を食いしばってまいります。


選評


荒俣宏  小谷真理  椎名誠  鈴木光司  萩尾望都



候補作品


朝の容花

※「かおばな憑依帖」に改題
三國青葉
ワーカー

※「絶対服従者(ワーカー)」に改題
関俊介
恐竜ギフト 井上綾子
遠国 張間ミカ

選考委員


荒俣宏 アラマタ・ヒロシ

1947(昭和22)年、東京都生れ。作家、翻訳家、博物学・幻想文学・神秘学研究家、風水師。慶應義塾大学法学部卒業後、日魯漁業に入社。コンピュータ・プログラマーとしてサラリーマン生活を送るかたわら、雑誌「幻想と怪奇」を編集。英米幻想文学の翻訳・評論と神秘学研究を続ける。1987年、『帝都物語』で日本SF大賞を受賞。1989年、『世界大博物図鑑第2巻・魚類』でサントリー学芸賞受賞。テレビのコメンテーターなどとしても活躍中。



小谷真理 コタニ・マリ

1958(昭和33)年、富山県生れ。評論家。フェミニズム的な観点に基づくSF・ファンタジー評論の第一人者として活発な活動を続けている。1992年、共訳書『サイボーグ・フェミニズム』で第2回日本翻訳大賞思想部門受賞。1994年、『女性状無意識―女性SF論序説―』で第15回日本SF大賞受賞。近著に『テクノゴシック』『星のカギ、魔法の小箱―小谷真理のファンタジー&SF案内―』などがある。



椎名誠 シイナ・マコト

1944(昭和19)年、東京生れ。作家、写真家。私小説、SF小説、随筆、紀行文、写真集など、幅広く作品を手がける。『さらば国分寺書店のオババ』でデビュー。著書に、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)『岳物語』などの自伝的小説、『アド・バード』(日本SF大賞)『武装島田倉庫』などのSF作品、「わしらは怪しい探険隊」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズなどの紀行エッセイ、『全日本食えば食える図鑑』『国境越え』などの写文集が多数。近著に『三匹のかいじゅう』がある。



鈴木光司 スズキ・コウジ

1957(昭和32)年、静岡県浜松市生れ。1990(平成2)年『楽園』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。1991年に刊行された『リング』が圧倒的に支持され、その続編『らせん』で吉川英治文学新人賞を受賞。二作に続く『ループ』『バースデイ』シリーズの他に『仄暗い水の底から』『生と死の幻想』『家族の絆』『シーズ ザ デイ』『神々のプロムナード』などがある。



萩尾望都 ハギオ・モト

1949(昭和24)年、福岡県生れ。漫画家。1969年「ルルとミミ」でデビュー。以後、SF、ファンタジー、ミステリーなど幅広い作品ジャンルで活躍を続けている。1976年『11人いる!』『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞受賞。1997(平成9)年『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞優秀賞受賞。2006年『バルバラ異界』で第27回日本SF大賞受賞。2010年に米国にてインクポット賞を受賞、2011年、第40回日本漫画協会賞・文部科学大臣賞を受賞。



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