日本ファンタジーノベル大賞



第二十五回日本ファンタジーノベル大賞


第25回「日本ファンタジーノベル大賞」の選考会は、荒俣宏、小谷真理、椎名誠、鈴木光司、萩尾望都の五委員により、平成25年7月30日、東京・中央区の読売新聞東京本社において開かれました。その結果、全応募作644篇から選ばれた下記最終候補作4篇のうち、下の2作品が大賞・優秀賞に決まりました。両作品は11月に小社より刊行される予定です。



受賞作品


大賞

「今年の贈り物」 古谷田奈月


受賞者略歴


古谷田奈月(こやた・なつき)
1981年生まれ。
千葉県我孫子市出身、在住。
二松学舎大学卒業後、派遣社員としての勤務やアルバイトの傍ら執筆活動を開始、現在に至る。



受賞のことば


このたびはこのような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に存じます。そして、書く、書き続ける、ということが許された環境に心から感謝します。家族や友人たちの協力、応援、そして何より無関心に、私の時間は今日まで強く守られてきました。一人黙々と書き続けることが許されることは、私にとって、生まれてきたことを肯定されるのと同義です。それほど嬉しいことはありません。今回の受賞は、環境が私を生かしているという一つの大きな証拠になったと考えています。
同時に、この賞は私にとって大きな始まりを意味します。機会を与えてくださった選考委員の皆様、編集部の皆様に心より感謝申し上げます。




優秀賞

「きのこ村の女英雄」 鈴木 伸


受賞者略歴


鈴木 伸(すずき・しん)
大学卒業後、コナミスポーツ株式会社に入社。
ジムトレーナー、水泳のコーチ、スタジオインストラクターなどの業務から管理者へ。
病気により退職。快復後は転職し、現在に至る。



受賞のことば


作品以外で話すことが得意でないため、語録からひとつを紹介することで受賞の言葉にかえさせていただきます。

『傲慢と謙虚』

何歳生きても未熟。
未熟だからこそ、人間は死ぬまで成長できる。

傲慢という雨は、成長の芽を殺す。
万物を師とするためには、謙虚を常とせよ。

受賞にあたり、皆様に心から感謝しております。



選評


荒俣宏  小谷真理  椎名誠  鈴木光司  萩尾望都



候補作品


アカシック・ミュージアム 天原聖海
悪党華伝 坂本 葵
きのこ村の女英雄

※「忘れ村のイェンと深海の犬」に改題
鈴木 伸
今年の贈り物

※「星の民のクリスマス」に改題
古谷田奈月

選考委員


荒俣宏 アラマタ・ヒロシ

1947(昭和22)年、東京都生れ。作家、翻訳家、博物学・幻想文学・神秘学研究家、風水師。慶應義塾大学法学部卒業後、日魯漁業に入社。コンピュータ・プログラマーとしてサラリーマン生活を送るかたわら、雑誌「幻想と怪奇」を編集。英米幻想文学の翻訳・評論と神秘学研究を続ける。1987年、『帝都物語』で日本SF大賞を受賞。1989年、『世界大博物図鑑第2巻・魚類』でサントリー学芸賞受賞。テレビのコメンテーターなどとしても活躍中。



小谷真理 コタニ・マリ

1958(昭和33)年、富山県生れ。評論家。フェミニズム的な観点に基づくSF・ファンタジー評論の第一人者として活発な活動を続けている。1992年、共訳書『サイボーグ・フェミニズム』で第2回日本翻訳大賞思想部門受賞。1994年、『女性状無意識―女性SF論序説―』で第15回日本SF大賞受賞。近著に『テクノゴシック』『星のカギ、魔法の小箱―小谷真理のファンタジー&SF案内―』などがある。



椎名誠 シイナ・マコト

1944(昭和19)年、東京生れ。作家、写真家。私小説、SF小説、随筆、紀行文、写真集など、幅広く作品を手がける。『さらば国分寺書店のオババ』でデビュー。著書に、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)『岳物語』などの自伝的小説、『アド・バード』(日本SF大賞)『武装島田倉庫』などのSF作品、「わしらは怪しい探険隊」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズなどの紀行エッセイ、『全日本食えば食える図鑑』『国境越え』などの写文集が多数。近著に『三匹のかいじゅう』がある。



鈴木光司 スズキ・コウジ

1957(昭和32)年、静岡県浜松市生れ。1990(平成2)年『楽園』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し作家デビュー。1991年に刊行された『リング』が圧倒的に支持され、その続編『らせん』で吉川英治文学新人賞を受賞。二作に続く『ループ』『バースデイ』シリーズの他に『仄暗い水の底から』『生と死の幻想』『家族の絆』『シーズ ザ デイ』『神々のプロムナード』などがある。



萩尾望都 ハギオ・モト

1949(昭和24)年、福岡県生れ。漫画家。1969年「ルルとミミ」でデビュー。以後、SF、ファンタジー、ミステリーなど幅広い作品ジャンルで活躍を続けている。1976年『11人いる!』『ポーの一族』で第21回小学館漫画賞受賞。1997(平成9)年『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞優秀賞受賞。2006年『バルバラ異界』で第27回日本SF大賞受賞。2010年に米国にてインクポット賞を受賞、2011年、第40回日本漫画協会賞・文部科学大臣賞を受賞。



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