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【大和魂再生 ニッポンの敵】虐日偽善の正体 歴史問題を利用して他人貶め自己美化する日本人

12.8
 ★(5)

 前回述べたように、歴史問題で中国や韓国にやられ続けた根本的責任は、政治権力にある。ただし、政治権力をそのように仕向けた勢力が、わが国には強固に存在することを見逃してはならない。それはマスコミを中心とする、中国や韓国の主張に積極的に同調して、常に歴史の反省を強要する人々である。

 それらの勢力のことを、保守派の人々は「左翼」だと捉えているが、そのような理解は実は正しくない。その中には自民党の政治家もおり、日本のカトリックの最高首脳である司教団もいるから、左翼だけでなく広汎な人々に及んでいる。

 また、1990年代から保守の人々が、新しい歴史教科書運動を起こしたが、反省派の歴史の見方を「自虐史観」と呼んで批判した。この自虐史観なる名称は、便利なものではあるが、私としては大きな違和感を覚える。なぜなら、自虐史観派の人々は、自分自身に少しも心の痛みを感じていないからである。

 自虐の「虐」とは「いじめ」であるが、その対象に自分は含まれない。対象は歴史を反省しない、誤れる日本人なのである。従って、正しくは「虐日史観」と表現すべきものである。

 では、彼らはなぜ「虐日」に夢中になるのか。それは自分を良心的な人間であると美化したいから、としか思えない。他人を貶めることによって、自己を美化するのであるから、それは完全に偽善そのものである。虐日と偽善の合体であるから、彼らの考え方の正体は、「虐日偽善」であると私は断定する。

 中国人・朝鮮人の歴史問題を利用した日本攻撃も、もちろん虐日偽善であるが、それは外国の人間がやっていることである。しかし、日本人が同胞である日本人を、誹謗・中傷し、偏見・差別・迫害を行うのは、世界的に見ても極めて異常な現象と言わなければならない。だが、同胞を迫害する行為であるがゆえに、かえって外見的には、良心的に反省しているように見えてしまうのである。

 この虐日偽善に奔走する虐日日本人の典型こそ、組織で言えば朝日新聞、個人で言えば大江健三郎氏であるといえる。

 この虐日日本人が同胞を喜々としていじめまくる現象を、どのように理解できるだろうか。私はそれは、ドメスティック・バイオレンス(DV)だと考える。DVは普通、「家庭内暴力」と訳されるが、それは国家や民族の規模においても考えることができる。

 結局、虐日日本人の行為こそ、日本民族を標的とした、言論によるすさまじい暴力であり、今流行の言葉で言えば、ヘイトスピーチに他ならない。彼らが非難して止まないヘイトスピーチを、自分自身が熱狂的にやっているのである。 =おわり

 ■酒井信彦(さかい・のぶひこ) 元東京大学教授。1943年、神奈川県生まれ。70年3月、東大大学院人文科学研究科修士課程修了。同年4月、東大史料編纂所に勤務し、「大日本史料」(11編・10編)の編纂に従事する一方、アジアの民族問題などを中心に研究する。2006年3月、定年退職。現在、明治学院大学非常勤講師や、月刊誌でコラムを執筆する。著書に「虐日偽善に狂う朝日新聞」(日新報道)など。
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