秘密保護法:情報公開、与党も法整備要求
毎日新聞 2013年12月07日 13時01分(最終更新 12月07日 15時52分)
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の成立を受け、国民の「知る権利」を侵害する可能性をはらんだままの強行可決に対し、与野党で懸念や反発の声が広がった。野党は「自民党の暴走」と批判。情報統制強化が先行するとの懸念に対し、与党内でも「国民の不安は払拭(ふっしょく)できていない」との声があがった。政府は今後、情報公開や公文書管理のあり方の見直しを迫られる。
「まだまだ国民の不安が払拭しきれたとは思っていない。情報公開法、公文書管理法改正は早急にやらなければいけない課題だ」。法案を審議した参院国家安全保障特別委員会の自民党筆頭理事、佐藤正久氏は採決後、記者団にこう語った。公明党の山口那津男代表も「政府側は公文書管理法改正などいくつか宿題を負った」と述べ、閣議の議事録作成の必要性に触れ「情報公開の基盤を整えることにつながる」と強調した。
民主党の海江田万里代表は「暴走する自民党に対して、これからもチェック機能を果たさなければならない」と語った。同党は秘密保護法の対案として情報公開法と公文書管理法の改正案を今国会に提出したが、会期は8日までで事実上閉会しており、継続審議となっている。海江田氏は「通常国会に議員立法で情報公開の法律を出していく」との考えを示した。
6日の参院本会議での法案採決では、民主、共産、社民、生活の4党などは反対し、与党と法案修正で合意していたみんなの党、日本維新の会は退席。賛成130票、反対82票だった。みんなでは真山勇一、川田龍平、寺田典城の3氏が本会議に出席し、反対票を投じて造反。自民党の二之湯智氏も反対したが、記者団に「投票ミスだ」と説明した。
みんなの水野賢一参院国対委員長は「徹底審議がなされなかったことは非常に残念だ」と語った。党方針に造反し、反対した寺田氏は、与党との合意を急いだ渡辺喜美代表に対し「与党にすり寄ったと言われても仕方がない」と批判した。
政府は法成立を受け、内閣官房に準備室を設置し、来年12月までの施行へ向けた作業を本格化する。施行までに秘密指定を検証する情報保全監察室を内閣府に、保全監視委員会を内閣官房に設けるとしているが、政府内に置かれるチェック機関が政府の不当な秘密指定を防止できるかは不明だ。【小山由宇、阿部亮介】