英ガーディアン編集長:「NSA機密文書報道は1%だけ」
毎日新聞 2013年12月04日 11時12分
【ロンドン小倉孝保】米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)=ロシアへ亡命=から米国家安全保障局(NSA)の内部資料を提供され、スクープを続ける英紙ガーディアンのアラン・ラスブリッジャー編集長が3日、英議会内務特別委員会で証言した。機密文書のファイルは5万8000件あるが「報道したのは1%だけだ」と強調。さらに「報道の自由や民主主義があるから、この国(英国)を愛している」と述べ、スクープが国益を損なっているという批判に反論した。
米英の情報機関が通信を傍受している実態を暴露した一連の報道に絡み同紙幹部が国会に呼ばれるのは初めて。ラスブリッジャー編集長は約1時間、証言した。
キャメロン英首相や英秘密情報機関幹部は、スクープで盗聴の実態が明らかになりテロリストたちを利すなど国益が損なわれていると批判している。この点について編集長は「米英政府幹部から損害は発生していないと言われた」と語った。
さらに、国の安全を脅かしているとの批判に対し「あいまいな批判で具体性がない。(安全が脅かされたという)明確な証拠が示されていないため検証することもできない」と反論した。
さらに、委員の一人から「国を愛しているか」と問われ「そんな質問をされ、やや驚いている。私は愛国者だ。民主主義や報道の自由があり、議論ができるからこそ、この国を愛している」「治安機関が(新聞の)編集者に、書くことを指示する国がある。英国はそんな国ではない。だから我々はこの国を愛している」と訴えた。
編集長は同紙の報道によって、情報機関の役割やプライバシーの問題について世界的に広範な議論が起きたと評価した。