昆虫交尾図鑑
芸大入って3個目の課題は本を作るというものだった。
浪人中はやりたいことなんかわかんないし何を作っていいかわからず、お酒を浴びるように飲んで二日酔いの毎日だった。(今はだいぶ大人になりました)
かっこいいとかかわいいものとかよく知らないし作れない。そういうセンスは皆無だった。だからおもしろいもの、笑えるものだったらなんとかうまく作れそうな気がした。
二日酔い明けの大宮そごうの本屋で「講談社の動く図鑑 move昆虫」という図鑑を読んで、「これだ!」(This is it)
図鑑には写真やキャプションだけでなく生態や飼い方なんかが載っている。昔から理科の資料集とかをよく読んでいたんで、そういう雑学やコラムみたいなのが好きだった。
下ネタなんか今はあんまり言わなくなったけど当時はそういう年頃だったから(といっても21歳)交尾に絞って本を作ろうと思った。
最初は昆虫四十八手というタイトルで考えていたんだけど、昆虫の交尾の体位って実際3つくらいしかなくて始まってすぐ絶望した記憶がある。でもまあ体位は無理でも性行為の方法だったらたくさん種類があったので、それに四十八手風のタイトルをつけたらかっけー!
タイトルも四十八手や相撲の決まり手を探したけどなかなかそれだけじゃ当てはまらなかったのでひたすら「強そうな技」でGoogle検索したりとかかっこいい名前を探しまくっていた。
そんなこんなで課題は完成し、発売する本とはデザインはだいぶ違うが本の形になった。手製本が条件だったが元からとても不器用で(カッターで紙をまっすぐ切るのになかなか苦労するレベル)そして要領も悪いので(4冊くらい製本したが全て紙がつっていた)製本がね…と教授に言われはしたがなんやかんや自分の中ではうまくいった課題だった。
その後「THE SIX 2011」という学生コンペで入賞し、ライターのやきそばかおるさんに声をかけていただき出版が決まった。
ネタを10個ぐらい増やし、絵も完成度を上げ(描写力のなさに絶望し)、装丁もやった。その装丁がまた…大変で…ハァハァ…。印刷物を作ったことは何度かあったが本の形で入稿したりしたことはなかったので、ページや本全体の構成とかもふわふわした状態で作ってた。その本の課題でお世話になった藤崎圭一郎教授に何度かご指導ご鞭撻をふるっていただき、なんとか形になった所存です。
元来わたしはそこまで本を買ったり読んだりする方ではなかったし、帯なんかはすぐに捨ててしまう方だった(作ってからは全てのブックデザイナーに懺悔した)
わかんねー!と夜中奇声を上げ布団にごろごろする毎日でした。
買っていただいた方、帯とか捨てないでとっておいてほしいな…(涙
DTP関連には前から興味があったが、装丁はそこまでって感じでしたが今はもっと勉強したいと思ってます。
虫が嫌いな人にも見てもらえるような内容になってると思うし、おもしろい本になりました。是非みなさん書店やネットで手に取ってください。