宮崎市に「津波よけ」に御利益がある、とされる神社がある。日向灘に面した一ツ葉海岸近くにひっそりと立つ一葉稲荷神社である。
神社には不思議な「白ウサギ伝説」が伝わる。約350年前の外所(とんところ)大地震で宮崎は大きな被害を受けた。しかし、神社の境内に1匹のウサギが現れ、津波を蹴散らしたので、神社は守られたとの言い伝えだ。
宮司の石川浩さんによると、うさぎ年に発生した東日本大震災後、県外の参拝客が増え始めたそうだ。日向灘を含む南海トラフ巨大地震を心配して神頼みに訪れる人や、東北で被災した親類や知人のためにと、お守りを買い求める人もいるという。
本殿には波をかき分けて走る木彫りの白ウサギが、海ににらみを利かせるように飾られている。そっと手を合わせる人の姿を見ていると、津波の猛威から何とか逃れたいとの切実な思いが伝わってくる。
太平洋沿岸に暮らす住民の間には今、巨大地震への危機感が漂う。宮崎は最悪の場合、死者3万5000人、全壊・焼失建物が8万9000棟など、九州最大規模の被害が予想される。宮崎県は先日、死者数を想定の4分の1に減らすための減災計画を発表したばかりだ。
被害想定を前に気持ちばかりが焦ってしまうが、伝説の白ウサギに期待するわけにはいかない。「ウサギと亀」の寓話(ぐうわ)もある。多くの命を救うには一歩ずつ、一歩ずつ取り組むしかない。
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