ノアの田上明社長が7日の東京・有明コロシアム大会で引退試合を行い、25年間のレスラー生活にピリオドを打った。田上は平柳玄藩、杉浦貴、森嶋猛らの付け人とカルテットを結成して志賀賢太郎、井上雅央、藤波辰爾、天龍源一郎組と激突。井上を「オレが田上」でフォールして有終の美を飾った。セレモニーではかつての盟友・川田利明、小橋建太から花束を贈呈され“四天王時代”が完全に幕を閉じた。
万感の思いで最後のリングに上がった。付け人たちが赤コーナーに陣取り、青コーナーにはデビュー25年目にして初対決となる飛龍・藤波、大相撲時代の先輩・天龍が待つ。「田上コール」と同時に真紅の紙テープが緑色のマットを染めた。
4分過ぎには、自ら対戦を要請した藤波と待望の初顔合わせが実現。田上は顔面にハイキックを叩き込み、逆に足4の字固めを決められる。時間にしてわずか30秒程度の遭遇だったが、夢がかなった瞬間だった。
天龍からは胸板が真っ赤になるほどの逆水平チョップを浴びた。しかし最後は森嶋が井上を殺人バックドロップにとらえると、杉浦がすかさず五輪予選スラムでフォロー。お膳立ては整った。仕上げは田上がここ一番の大技「オレが田上」で井上をフォール。万感の思いで最後の3カウントを奪った。
試合後には引退セレモニーが行われ、東京スポーツ新聞社からは記念の特大パネルが贈呈された。四天王時代の激闘VTRが場内のスクリーンで上映され、かつて激闘を展開したライバルや盟友が花束を持ってかけつけた。プロレスの師匠だったザ・グレート・カブキ、そして共に一時代を築いた川田と小橋。故三沢光晴さんの遺影を3人で囲み、四天王が勢ぞろいした格好だ。
最後には本人も聞かされていなかったというサプライズで長男・豊さんと長女・菊乃さんが花束を贈呈。菊乃さんが「おとうさんへ」という手紙を読むと、大噴火し終えたばかりの火山口からは涙がこぼれ落ちた。全選手による胴上げで祝福された田上は「みなさんありがとうございました」と簡素に礼を述べ「大田上コール」を背に花道を引き揚げた。
「若い連中が頑張れるような環境をつくってあげたい」と田上。今後は社長業に専念してノアを支えていくことを誓っていた。
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