335.2
2006年 10月 16日
「交渉人(ネゴシエーター)交渉人 真下正義」をTVで見た。
「踊る太走査線」から派生した映画で、親の七光りの、刑事としてはあまり能力の無かったキャリア警察官が、新しく実験的に開発された能力を身につけて、「オタク」のテロリスト風犯人と対峙する映画である。
小生が面白いと思ったのは、映画のストーリーそのものではなく、・・・・・・米国の刑事ものみたいな設定の・・・・、クリスマスイヴに起こった地下鉄暴走事件と爆発テロも同時進行、その事件のヒントとして、ラヴェルの「ボレロ」を、クリスマスイヴに聞くという設定の、コンサート会場に仕掛けられた爆弾が、ボレロの335小節第2音・・・ほぼ終焉に近いあたりに鳴ならされるシンバルの周波数に感知して、起爆装置が働き、コンサート会場もろとも吹っ飛ぶという設定で、犯人が交渉人に、ヒントとして「335.2」という暗号めいたものを告げることであった。
ちなみに「ボレロ」の総小節数は「340小節」である。
コンサートの演題はモーツァルトの序曲「フィガロの結婚」から「ベト5運命」そしてチャイコの「胡桃割り人形花のワルツ」へと続きそして終曲が「ボレロ」という内容だ。
実際にこのようなコンサートがあったとしたら面白いのだが、ここではかなりまじめに指揮者として「西村雅彦」 が右手を軽く動かすだけの指揮者ぶりで出ていた。
ストーリー途中で、地下鉄のコントロール室の頑固な責任者と、公証人真下が、それぞれ母親と彼女とで、事件原場のコンサート会場に行く設定となっていルことがわかり、見るものを緊張させる。犯人は「真下」の彼女を殺害することによって得られる「真下」への勝利の快感を得ることがが望みだ。
犯人からの情報を収集分析した結果、「ボレロでクリスマスイヴを」という、クラシックイベントが催される新宿のコンサートホールが爆発のターゲットだと知ることになり、追って「335.2」の暗号の謎が解けることになる。
シンバルがなろうとした瞬間、やくざのような刑事がシンバルを鳴らそうとする打楽器奏者を羽交い絞めにし、舞台から降ろしてしまう。
打楽器奏者は一番後方に位置する、だから客席も、指揮者も、オケ仲間も、打楽器奏者が舞台から下ろされたことを知らずに、l曲は問題の335.2を通過する。
シンバルは鳴ならずに曲が進行し、「間抜けなボレロ」となって曲が終わるが、曲が終わっても客席からは、しばらく拍手が起こらない。
・・・演奏がよかったこと、音楽の余韻を味わうためであるのか、シンバルが鳴らなかったことへのブーイングの代わりなのか、このあたりの表現方法は面白い。
この事態を気づいてか、気づかないでか、指揮者は自体収拾のため、自身でおもむろに拍手をする。すると会場から初めて拍手がおきる・・・・
この場面は、いろいろな意味合いを含んだ面白いシーンである。
観客は「ボレロ」を何回も聞いているクラシック通なのか、あるいはその逆か。
この様なところにも、「オタク」が仕掛けそうなちょっとした推理ゲームが見え隠れする。
さてつらつらと書いてしまったが、
小生はこのストーリーで「ボレロ」が伏線のひとつになっていることを知ったとき、あることを思っていた。
それはこの・・・(踊る太捜査線をも含めた)音楽担当は、相当な「ラヴェル」の、あるいは「ボレロ」好きなこと。
果たしてそのアイディアをだし、それをやらせたのは、あるいは、やってのけたのは、制作スタッフのうちの誰なのかということであった。
ウイキで調べると候補はすぐに判明
製作(エグゼクティブ・プロデューサー):亀山千広 、監督:本広克行、原案:君塚良一 、脚本:十川誠志 、音楽:松本晃彦
以上の5人の人物の誰かであろうことがわかった。
一番怪しいのは、やはり音楽担当の「松本晃彦」 で、この男は、ラヴェルの「ボレロ」の「第2メロディー」を「踊る太捜査線」の所々に出てくる挿入メロディとして・・・若干の変化をつけてはいるが、明らかに、しかも意識して真似たと思われ音型を用いているのである。
「移動ド」で示すと「ドッ・シ・ラ・ドー」と、ところどころで繰り返して挿入されるメロディーは、明らか「ボレロ」の「第2メロディー」・・・「ボレロ」で最初に出てくるのは「ファゴット」によって奏される第1メロディーより暗い感じのもの、一度で覚えられるくらいおなじみのものであるから聞いた人ならすぐにピンと来るはずである。
その「ボレロ」がコンサートの「トリ」で使われ、コンサートのキャッチが「ボレロを聴いてすごすクリスマスイヴ」だから思わず笑いがこみ上げてくる。
さらに重要なストーリーの伏線である「335.2」とペアになっているのだから、・・・・
こんな大胆不敵なことを仕掛けた人物を特定し、犯人を検挙せねばならない。
第1容疑者は、やはり音楽担当の「松本晃彦」である。しかし彼が単独でこのアイディアを出したかというと、疑わしいものがあり、彼はやはり誰かの指示で実際に動いた「実行犯」だろう。
次に疑わしいのは、脚本の「十川誠志」(そごまさし)と読む珍しい名前だ、アニメ作品の脚本を主に手がけ、今までに有名どこでは、ポケットモンスター(脚本) 学校の怪談(脚本) ショムニ(脚本) などを手がけたという、しかし彼からは「ボレロ」の発想は見えてこない。
さらに、監督「本広克行 」は、うどんが好きで映画「UDON]を製作したという、いわば「オタク」の若者である。デジタル技術の信奉者で、今後一切「フィルム」を使用しないという信念の持ち主だから、まさに時代の兆児である。
富野 由悠季、押井守、庵野秀明をリスペクトしたというから、「ガンダム」「機動警察パトレイバー」「新世紀エヴァンゲリオン」オタクでもあったと思われる。
そういえば、小生の息子が「エヴァンゲリオン」に夢中だったころ、突然「ヘンデル」の「メサイア」はある?とか「ツァラトウストラ」、「ベト9」など矢継ぎ早に、・・・今までピアノでは、クラシック作品を練習してはいたが、それ以外にまったく興味の無かったはずなのだが・・・音盤を探しに音楽部屋に来たことがあった。
後にそれが、庵野秀明の「新世紀エヴァンゲリオン」の影響と知ることになったのである。
なるほど、彼の中には、「創世記、原始キリスト教」などの古代文明・文化、宗教、が
ちりばめられていて、アニメの中にはクラシック音楽が多く使われている。
「死海文書」は、小生も興味がわいたものだった。
「公証人・・・・」は、「オタク」がハイライトされている作品だということもでき、この「オタク」監督「本広克行」が、「ボレロ」仕掛けの、真犯人の可能性が高い。
「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」、「機動警察パトレイバー」によって「オタク」的影響を強く受けた「本広」なら、それらからの感性を、この「公証人・・・」で組み立てなおしたと、推測するに外れはしないだろう。
「本広」は、「ボレロ」のアイディアをスタッフに持ちかけ、脚本、音楽、プロデュース、書く担当了解の下で、この物語に、自分の・・・若き日々に夢中になったアニメ作品の作者へのオマージュとして、「踊る大捜査線」に埋め込まれた「ボレロ」第2メロディーの本家帰りとして「ボレロ」そのものをたくみに使用した・・・・と、小生は見るのである。
ここに「本広」が先輩諸氏から学んだ「オタク」・・・・「類まれなるオタクでしか解けない謎掛け」が存在しているように思えるのであった。
往年の名演奏といわれる2つを聞いた。
「エルネスト・アンセルメ」と「スイス・ロマンド管弦楽団」・・・小細工を弄しない・・・・ラヴェルが好んだであろう演奏の典型のような色彩美あふれる演奏。
終曲の「シンバル」の音に象徴されるように、ダイナミックで派手で、情熱のこもる演奏。「シャルル・ミンシュ」と「パリ音楽院管弦楽団」の技術も素晴らしい演奏。
「踊る太走査線」から派生した映画で、親の七光りの、刑事としてはあまり能力の無かったキャリア警察官が、新しく実験的に開発された能力を身につけて、「オタク」のテロリスト風犯人と対峙する映画である。
小生が面白いと思ったのは、映画のストーリーそのものではなく、・・・・・・米国の刑事ものみたいな設定の・・・・、クリスマスイヴに起こった地下鉄暴走事件と爆発テロも同時進行、その事件のヒントとして、ラヴェルの「ボレロ」を、クリスマスイヴに聞くという設定の、コンサート会場に仕掛けられた爆弾が、ボレロの335小節第2音・・・ほぼ終焉に近いあたりに鳴ならされるシンバルの周波数に感知して、起爆装置が働き、コンサート会場もろとも吹っ飛ぶという設定で、犯人が交渉人に、ヒントとして「335.2」という暗号めいたものを告げることであった。
ちなみに「ボレロ」の総小節数は「340小節」である。
コンサートの演題はモーツァルトの序曲「フィガロの結婚」から「ベト5運命」そしてチャイコの「胡桃割り人形花のワルツ」へと続きそして終曲が「ボレロ」という内容だ。
実際にこのようなコンサートがあったとしたら面白いのだが、ここではかなりまじめに指揮者として「西村雅彦」 が右手を軽く動かすだけの指揮者ぶりで出ていた。
ストーリー途中で、地下鉄のコントロール室の頑固な責任者と、公証人真下が、それぞれ母親と彼女とで、事件原場のコンサート会場に行く設定となっていルことがわかり、見るものを緊張させる。犯人は「真下」の彼女を殺害することによって得られる「真下」への勝利の快感を得ることがが望みだ。
犯人からの情報を収集分析した結果、「ボレロでクリスマスイヴを」という、クラシックイベントが催される新宿のコンサートホールが爆発のターゲットだと知ることになり、追って「335.2」の暗号の謎が解けることになる。
シンバルがなろうとした瞬間、やくざのような刑事がシンバルを鳴らそうとする打楽器奏者を羽交い絞めにし、舞台から降ろしてしまう。
打楽器奏者は一番後方に位置する、だから客席も、指揮者も、オケ仲間も、打楽器奏者が舞台から下ろされたことを知らずに、l曲は問題の335.2を通過する。
シンバルは鳴ならずに曲が進行し、「間抜けなボレロ」となって曲が終わるが、曲が終わっても客席からは、しばらく拍手が起こらない。
・・・演奏がよかったこと、音楽の余韻を味わうためであるのか、シンバルが鳴らなかったことへのブーイングの代わりなのか、このあたりの表現方法は面白い。
この事態を気づいてか、気づかないでか、指揮者は自体収拾のため、自身でおもむろに拍手をする。すると会場から初めて拍手がおきる・・・・
この場面は、いろいろな意味合いを含んだ面白いシーンである。
観客は「ボレロ」を何回も聞いているクラシック通なのか、あるいはその逆か。
この様なところにも、「オタク」が仕掛けそうなちょっとした推理ゲームが見え隠れする。
さてつらつらと書いてしまったが、
小生はこのストーリーで「ボレロ」が伏線のひとつになっていることを知ったとき、あることを思っていた。
それはこの・・・(踊る太捜査線をも含めた)音楽担当は、相当な「ラヴェル」の、あるいは「ボレロ」好きなこと。
果たしてそのアイディアをだし、それをやらせたのは、あるいは、やってのけたのは、制作スタッフのうちの誰なのかということであった。
ウイキで調べると候補はすぐに判明
製作(エグゼクティブ・プロデューサー):亀山千広 、監督:本広克行、原案:君塚良一 、脚本:十川誠志 、音楽:松本晃彦
以上の5人の人物の誰かであろうことがわかった。
一番怪しいのは、やはり音楽担当の「松本晃彦」 で、この男は、ラヴェルの「ボレロ」の「第2メロディー」を「踊る太捜査線」の所々に出てくる挿入メロディとして・・・若干の変化をつけてはいるが、明らかに、しかも意識して真似たと思われ音型を用いているのである。
「移動ド」で示すと「ドッ・シ・ラ・ドー」と、ところどころで繰り返して挿入されるメロディーは、明らか「ボレロ」の「第2メロディー」・・・「ボレロ」で最初に出てくるのは「ファゴット」によって奏される第1メロディーより暗い感じのもの、一度で覚えられるくらいおなじみのものであるから聞いた人ならすぐにピンと来るはずである。
その「ボレロ」がコンサートの「トリ」で使われ、コンサートのキャッチが「ボレロを聴いてすごすクリスマスイヴ」だから思わず笑いがこみ上げてくる。
さらに重要なストーリーの伏線である「335.2」とペアになっているのだから、・・・・
こんな大胆不敵なことを仕掛けた人物を特定し、犯人を検挙せねばならない。
第1容疑者は、やはり音楽担当の「松本晃彦」である。しかし彼が単独でこのアイディアを出したかというと、疑わしいものがあり、彼はやはり誰かの指示で実際に動いた「実行犯」だろう。
次に疑わしいのは、脚本の「十川誠志」(そごまさし)と読む珍しい名前だ、アニメ作品の脚本を主に手がけ、今までに有名どこでは、ポケットモンスター(脚本) 学校の怪談(脚本) ショムニ(脚本) などを手がけたという、しかし彼からは「ボレロ」の発想は見えてこない。
さらに、監督「本広克行 」は、うどんが好きで映画「UDON]を製作したという、いわば「オタク」の若者である。デジタル技術の信奉者で、今後一切「フィルム」を使用しないという信念の持ち主だから、まさに時代の兆児である。
富野 由悠季、押井守、庵野秀明をリスペクトしたというから、「ガンダム」「機動警察パトレイバー」「新世紀エヴァンゲリオン」オタクでもあったと思われる。
そういえば、小生の息子が「エヴァンゲリオン」に夢中だったころ、突然「ヘンデル」の「メサイア」はある?とか「ツァラトウストラ」、「ベト9」など矢継ぎ早に、・・・今までピアノでは、クラシック作品を練習してはいたが、それ以外にまったく興味の無かったはずなのだが・・・音盤を探しに音楽部屋に来たことがあった。
後にそれが、庵野秀明の「新世紀エヴァンゲリオン」の影響と知ることになったのである。
なるほど、彼の中には、「創世記、原始キリスト教」などの古代文明・文化、宗教、が
ちりばめられていて、アニメの中にはクラシック音楽が多く使われている。
「死海文書」は、小生も興味がわいたものだった。
「公証人・・・・」は、「オタク」がハイライトされている作品だということもでき、この「オタク」監督「本広克行」が、「ボレロ」仕掛けの、真犯人の可能性が高い。
「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」、「機動警察パトレイバー」によって「オタク」的影響を強く受けた「本広」なら、それらからの感性を、この「公証人・・・」で組み立てなおしたと、推測するに外れはしないだろう。
「本広」は、「ボレロ」のアイディアをスタッフに持ちかけ、脚本、音楽、プロデュース、書く担当了解の下で、この物語に、自分の・・・若き日々に夢中になったアニメ作品の作者へのオマージュとして、「踊る大捜査線」に埋め込まれた「ボレロ」第2メロディーの本家帰りとして「ボレロ」そのものをたくみに使用した・・・・と、小生は見るのである。
ここに「本広」が先輩諸氏から学んだ「オタク」・・・・「類まれなるオタクでしか解けない謎掛け」が存在しているように思えるのであった。
往年の名演奏といわれる2つを聞いた。
「エルネスト・アンセルメ」と「スイス・ロマンド管弦楽団」・・・小細工を弄しない・・・・ラヴェルが好んだであろう演奏の典型のような色彩美あふれる演奏。
by noanoa1970 | 2006-10-16 10:44 | ボレロ | Comments(2)