子どもたちとランニングをする福留。吐く息は白かった【拡大】
吐く息は白い。冷たい風に吹かれ、気温はわずか5度。そんな環境のなかで、福留は少年たちの期待に応えた。予告ホームラン。悔しい1年を送った男にとっては来季へとつながる一発だ。
「子どもたちに『プロ野球選手ってスゴイな』と思ってもらいたかったから」
野球教室の最後のメニュー。山崎氏から「みんな、ホームラン見たい? 福留選手が見せてくれます」と、バットを渡された。1球目の打ち損じに苦笑い。準備運動もしていない。2球目。左翼を向いて放った白球は、92メートル先のフェンスを越えた。飛距離の出ない軟式球で、近くからトスされた緩い球。この条件での100メートル弾。子どもたちは「おーっ」と拍手喝采だ。福留は、完璧なフィナーレで野球教室を締めた。
虎のクリーンアップを期待されて入団した元メジャーリーガーだが、今季は故障の連続。5月に左ひざを手術し、シーズン終盤には両ふくらはぎを痛めた。63試合で打率・198、6本塁打。中日時代の2002年、06年と2度の首位打者に輝いたが、36歳を迎え、陰りが見えたのでは…。