ブラジルW杯の組み合わせ抽選会が終わり、日本の対戦相手がコートジボワール、ギリシャ、コロンビアに決まった。本紙評論家の元日本代表FW武田修宏氏(46)は今回の抽選の結果をどう見たのか。情報収集と相手の分析が得意な日本は、最重要と位置づける初戦を勝てれば、上位進出の可能性があると断言した。一方で、開催国・ブラジルの苦戦を予想。優勝候補には別の国を挙げた。
【武田修宏の直言】率直な感想として、日本はいい組に入ったんじゃないかな。W杯優勝国もいないし、ギリシャとコートジボワールは1次リーグ突破の経験もない。W杯の実績だけを見れば、日本はコロンビアと並ぶ結果を残している。今回の相手は日本の“武器”を生かせば、互角以上に戦えると思う。
日本が得意とするのは情報収集と相手の分析。それが最大に生かされるのが初戦。ここでアフリカ勢と当たるのはラッキーだろうね。前回大会の初戦のカメルーン戦を思い出しても分かるように、アフリカ勢は相手の分析が苦手な上に、エンジンのかかりが遅い。コートジボワールにはドログバやヤヤ・トゥーレといった「個の力」が抜群な選手が多いが、その反面、組織力に欠ける。そこを突ければ日本の勝機は見えてくる。
ギリシャは欧州勢の中では日本にとって組しやすい相手だろう。堅守を崩すのは容易ではないが、日本がボールを持つ展開になる。2005年コンフェデ杯で勝ったように、細かいパス回しと前線の選手の俊敏さでこじ開けることはできるはずだ。
コロンビアと当たるのが3戦目でよかったと思う。正直、ファルカオらとまともに当たったら厳しい。でも、コロンビアが日本と当たる前に2勝してくれていればスキも生まれる。日本は2勝1敗か2勝1分け、悪くても1勝2分けでベスト16に進めると見ている。
死の組となったD組はイングランドが厳しいだろう。私の予想は、南米開催で地の利があるウルグアイが1位、コンフェデ杯を経験したアドバンテージがあるイタリアが2位。日本はC組1位通過なら8強入りも夢ではないだろう。
開催国のブラジルは一見、いい組み合わせになった感じだけど、決勝T1回戦の相手がいきなりスペインかオランダというのは厳しい。ホームの利はあるけど、上位に行くまでかなり消耗させられる組み合わせで、まさかの結果もあり得る。私の優勝候補はドイツ。実力は申し分なく、今回は対戦国にも恵まれた。アルゼンチンも楽な組に入り、優勝を意識できる組み合わせだろうね。
日本にとって一番怖いのは、今回の対戦相手を見て「勝てる」という風潮が生まれてしまうことだ。そういうムードにならないように、私をはじめとするサッカー界OBやメディアは引き締めていくべきだと思う。
☆武田修宏:たけだ のぶひろ=1967年5月10日生まれ。静岡県出身。幼少期から「天才少年」と呼ばれたストライカー。名門・清水東(静岡)か ら86年に読売クラブ(現東京Ⅴ)入り。ルーキーながら11得点を上げ、リーグⅤに貢献し、MVPにも選出された。Jリーグ発足後はV川崎や磐田、京都、 千葉などでプレー。00年には南米パラグアイのルケーニョに移籍。01年に東京Vに復帰し、同シーズンで現役引退した。Jリーグ通算は94得点。JSL時 代も含めれば152得点を挙げた。87年に日本代表に選出。93年アメリカW杯アジア最終予選でドーハの悲劇を経験した。http://takeda.at.webry.info/
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