泥まみれの徳洲会 なぜこだわる山下市長
2013年12月06日
主筆 藤山純一
「政治とカネ」の問題が問われて久しい。世界的な大規模汚職事件といわれるロッキード事件が発覚したのは昭和51年。戦後、わが国の疑獄を代表する大事件で、内閣総理大臣の�猗蛤甅瓩世韻紡腓�な波紋を呼んだ。
あれから37年。「政治とカネ」をめぐる事件は後を絶たない。戦闘機購入に絡んだ汚職事件、ダグラス・グラマン事件や未公開株を賄賂として政治家や官僚にばらまいた戦後最大のスキャンダル、リクルート事件、５億円のヤミ献金が発覚した東京佐川急便事件、日本歯科医師連盟から政治家に贈られた１億円日歯連ヤミ献金事件など、相次ぐ汚職事件に国民の政治不信は頂点に達した。
さらに企業や団体からの政治家への裏金だけでなく、政治家自身が架空の事務所経費や秘書給与をでっち上げたり、疑惑は広がるばかり。特に秘書給与の問題は、国家公務員（特別職）である公設秘書を「名義借り」や「親族採用」でカモフラージュし、実態がないのにもかかわらずこの秘書給与を流用するなど悪質極まりない事態だ。
これらを教訓に改正政治資金規正法ができたのが平成19年６月。政治資金規正法が施行されてから約60年。「政治とカネ」の問題が起きるたびに改正が重ねられてきたが、この改正でも対症療法にとどまり「ざる法」との批判は免れない。
そんな中で昨年12月の衆院選（鹿児島２区）で自民党の徳田毅衆院議員の選挙運動に、医療法人「徳洲会」グループの２００人以上の病院職員らが従事し、報酬を受け取っていたとして東京地検特捜部と警視庁は、徳洲会の創設者である徳田虎雄前理事長の親族ら８人を公職選挙法違反容疑で逮捕した。
さらに徳洲会が地元県議や市議らを買収する目的で計６０００万円を提供していた疑いも明らかになった。
また、昨年12月の東京都知事選の前に、猪瀬直樹知事が徳洲会から５０００万円の提供を受けていたことが発覚、衝撃が走った。次いで少なくとも１００人近くの国会議員の政治団体に献金やパーティー券購入、貸付金の形で約１３００万円を提供していたことも分かった。
まさに政治家をカネまみれにして欲しいままに操る手法ではないか。全国に66病院を含む２８０以上の医療施設を持つ国内最大の医療グループは、このような手段を駆使して大きくなってきたのだろうか。
これに追い打ちをかけるように徳洲会内部でも不祥事が明るみに出、元事務総長が３０００万円の業務上横領容疑で逮捕され、着服総額は３億円に上るといわれる。
役員の暴力団との黒い交際疑惑に幹部の業務上横領事件、さらには病院ぐるみの公選法違反容疑。猪瀬知事や多数の国会議員への多額の現金ばらまき問題。相次ぐ不祥事にどうみても人の命を預かる医療法人として認めるわけにはいかない。
それでも生駒市の山下真市長は、市立病院を徳洲会に託そうとするのか、市民の意見も聞かずに、なぜそこまで徳洲会にこだわるのか、一体その背景に何があるのか、極めて疑問でならない。