秘密保護法:監察室は補佐的役割 第三者機関と隔たり

毎日新聞 2013年12月06日 21時57分(最終更新 12月07日 01時42分)

情報保全監察室の位置付け
情報保全監察室の位置付け

 特定秘密保護法に基づく特定秘密の指定や解除を検証する監視機関として、菅義偉官房長官が5日に設置を表明した「情報保全監察室」(仮称)が、事務次官級の「保全監視委員会」(同)の補佐的役割にとどまることが分かった。同日の自民、公明、日本維新の会、みんなの党の4党合意では、監察室は「独立した公正な立場で検証、監察する新たな機関」(同法付則9条)との位置付けだったが、合意を受けた実際の制度設計は「第三者機関」にはほど遠く、チェック体制は何ら強化されていないことになる。

 4党合意は法案修正に携わった実務者レベルの署名にとどまっており、独立性の強い機関を主張する維新から「骨抜き」と批判が出る可能性もある。

 政府案によると、情報保全監察室は内閣府に設置し、警察庁や外務、防衛両省の官僚20人程度で構成する方向。同じく内閣府に新設する審議官級ポスト「独立公文書管理監」(仮称)の下部組織とするが、内閣府設置法3条は内閣府を「内閣官房を助ける」と定めており、4党合意も監察室の所掌事務を「同条に基づく」としていることから、実際は保全監視委員会の補佐が主になる。

 保全監視委員会は行政機関の長による特定秘密の指定や解除などをチェックし、運用に問題があれば、首相が各機関を指揮監督する。一方、情報保全監察室は4党合意を踏まえ、指定や解除の適否などを検証、監察するが、独立性はない。森雅子特定秘密保護法担当相が6日の記者会見で「特定秘密の中身をしっかり見られるようにしないと、違法な指定をしているか判断できない」と述べたのも、監察室を政府の一組織にすることを想定しているためだ。

 本来、監察権限を持つ第三者機関を設置するには法律が必要だ。しかし、政府はもともと第三者機関に消極的で、4党合意でも監察室は「政令で設置する」ことになっていた。菅氏は5日の参院国家安全保障特別委員会で、維新の室井邦彦氏に対し「高度の独立性を備えた機関への移行のため、内閣府設置法の改正も検討していく」と答弁したが、自民党幹部は「公正取引委員会や消費者庁のような内閣府の外局にはなるわけがない」と語っている。【木下訓明、水脇友輔】

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