秘密保護法案:「ワケは秘密」と妻 おばちゃん党風刺動画

毎日新聞 2013年12月05日 10時51分(最終更新 12月05日 10時55分)

 何が秘密かも秘密なのが法案なら、何に怒っているかも秘密なのが妻−−。与党が強行可決する構えを見せている特定秘密保護法案の危うさを、夫婦げんかにたとえて風刺する動画「秘密保護法・愛の劇場」がインターネット上で公開された。「男性が大多数を占める政治にツッコミを入れたい」と、大阪などの女性で結党された「全日本おばちゃん党」の製作だ。

 妻が帰宅した夫をにらみつける。妻が政府、夫が国民という設定だ。「何怒ってるねん」。夫がうろたえて尋ねるが、妻は「胸に手を当てて聞いてみたら」とにべもない。けおされて飲み会やゴルフに内緒で行ったことを次々白状する夫。それでも妻は理由を明かさない。「教えてくれ。俺は何をしたんや!」。夫が悲鳴を上げると、画面に表示される。「それは秘密です」

 おばちゃん党は、谷口真由美・大阪国際大准教授(38)=国際人権法=が友人に呼び掛け、昨年11月に結党。原発や子育て、女性の政治参加などについて、フェイスブックやイベントで議論してきた。賛同する「党員」は3000人を超す。

 法案への関心が低いことを危惧した谷口さんが発案。夫役は知人の弁護士が、妻役は谷口さん自ら演じた。「分かりやすい」「国民への不信が法案にうかがえる」などと反応は上々だ。

 谷口さんの念頭には、東京電力福島第1原発事故を巡る政府の対応がある。放射性物質の拡散範囲を予測するシステム「SPEEDI」のデータを当初公表しなかった。「法案が通れば、情報公開に対する国の姿勢はますます後退する。国民が権力者の暴走を抑えるすべも奪われてしまう」と訴える。

 おばちゃん党のフェイスブックは、https://ja-jp.facebook.com/obachanparty【堀文彦】

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