特定秘密保護法をめぐって、野党第1党の民主党は存在感を発揮できなかった。海江田万里代表は、同法に理解を示す党内の保守派とリベラル派の対立を抑えることに腐心。安倍政権を追及しきれなかったうえ、野党もまとめ切れなかった。

 6日夜、特定秘密保護法の参院本会議での採決を前にした委員長報告が始まると、突然、民主党の議員が一斉に退席し始めた。

 民主の参院国対幹部は事前に、棄権を決めていた日本維新の会とみんなの党に退席方針を内密に伝えていた。足並みをそろえて野党共闘を演出する狙いからだ。与党により大きなダメージを与えられると計算し、退席の方針は参院執行部だけで相談し、限られた議員しか知らなかった。

 ところが、退席後に開いた議員総会で、郡司彰参院議員会長が「不当な強行採決を是認する形で本会議に出るわけにはいかない」と棄権方針を初めて議員に明かすと、「反対票を投じるべきだ」と異論が噴出。議場に戻ることになった。

 一時退席したため、予定していた反対討論もできない羽目に。採決後、郡司氏は党内を掌握できていなかったことを認め、「私の責任だ」とうなだれた。首相周辺は「民主党は批判する資格がないことを自ら示した」と皮肉った。